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悪魔と神の子  作者: Leone
第三章 記憶編
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第76話 忘れられし友

(悪魔なのになぜ助けてくれたのかな……)

 マシューの脳裏にどうしてもそういう疑問が浮かんでしまう。

 それでも、なんとか彼は頭の中から振り払い、これからどうするかを模索した。

 とはいえ、最善の行動など彼が思いつけるはずがない。記憶がないため、知識も乏しいのだから。

 故に彼は、傍にいるミラに頼るしかなかった。

 いや――、はずだった。

 なぜ、はずだったのか。理由は、

「大丈夫か? ミラ。酷くやられたみたいだな」

 その声の正体のせいだった。彼の名は、アック。先ほどまでシオンと戦闘していた者だ。

 今はまだ、そのことを知らないマシューだが。

「なぜお前が……?」

「そうだな……。リーダーに頼まれてな。この町にいる奴らが結構厄介なうえに、しようとしていることまでもが恐ろしいことだと聞いてな」

「そうか……」

「で、あんたらとチームを組めってことになったんだよ」

「だろうな。先ほど闘っていたが、実力は確かに相当なものだった」

「ま、自慢みたいなもんだが、俺はあいつと闘って来たんだぜ」

 マシューは記憶がないためか、あいつというのが誰なのか気になっていた。

「あいつ?」

 ミラも興味をもっていた。

「シオン・レクータ」

 その時、確かにその場の雰囲気が凍りついたのを、マシューは確かに感じ取った。

 なぜかはもちろんわからないが。

 だが、ミラにはそれが嫌というほどわかってしまう。一度だけ、闘ったことがあるが故に。

「シオンが……いるのか……? この……町に……」

 震える声でなんとか話すミラを見ていると、その恐ろしさが伝わってくる。

「ああ。最悪なことにな。こいつらもシオンにやられてな。なんとか助けだせたまではいいが……かなりまずい状態だからな」

 そう言いながら抱えていた二人を下ろした時、その顔を見てマシューは息が詰まりそうになった。

 アリスとレーラ。

 二人とも強いことを知っているがために、マシューは驚くことしかできなかった。

「とりあえず、怪我人が休めるところへ移動しようか」

 アックのその提案には二人とも賛同するしかなかった。理由は言うまでもないだろう。

 そして、移動しながらマシューは記憶に刻んだ。

 シオン・レクータという名を。

(絶対、許さねえ)

 そう思ったのは、あまりにも酷いと感じたからか。

 それとも、仲が悪くてもクラスメイトだからか。

 かつての友に、憎悪を抱いていることを知らずに。

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