第74話 謎の少女
「ミラ……」
マシューはミラのところへ少しずつ近寄った。
そして、近くにまで来た時、彼は息を呑んだ。
理由は、ミラが目を閉じていたからだ。
つまり、死んでいる、と。
「おい……嘘だろ……!?」
だが、そう思ったのも一瞬。
実際は気絶しているだけだった。そう思えたのは、呼吸により胸のあたりが上下していたから。
故に彼は安堵のため息を漏らす。
しかし、直後に彼は気付いた。
(どうしよう……)
途方に暮れいていた彼は、とりあえず誰かを呼ぼうと決断する。
だが、一体、誰を呼ぶのだ?
言うまでもないが、悪魔との戦闘の被害を抑えるため、マシューは人々を逃がしていたのだ。ともすれば、誰かを呼ぶのは不可能だった。
「糞……」
悪態をつくマシュー。そんなことをしても何の解決にもならないのに。
その時、唐突に彼の背後から声が聞こえた。
「助けてあげようか?」
マシューが振り向くと、そこには一人の女の子がいた。年齢は見た感じだと、彼と同じくらいだろう。腰まである桃色の長い髪、赤い瞳、そして衣装だと思われる、ひらひらとした派手な服装だった。
彼女は悪魔には見えなかった。根拠はないが。
「…………」
彼は彼女のセリフに驚愕していた。
それを見て彼女はもう一度言った。
「助けてあげようか?」