第69話 絶対勝つ!
マシューと地の悪魔であるマークが向かい合う。
「マシュー……、逃げるんだ」
「あんたを置いていけるか……」
「……」
「俺は絶対、こいつを倒してあんたを助けてみせる!」
「お前には無理だ。こいつの強さは尋常じゃない。現に私は容易く負けたのだから」
「そんなこと知ったこっちゃねえ。こいつが強かろうが何だろうが、俺は絶対に勝つ!」
「絶対に勝つというのは、強者のセリフだぞ。弱者が言うものではない」
マークが軽い挑発をする。
「はっ!! 俺が弱者? ふざけんじゃねえ。俺は絶対てめえに勝ってみせるから、覚悟しろ!」
「……面白い」
マークはほんの少しだけ、口元を吊り上げた。
そして、マシューとマークの闘いが幕を開ける。
先に動いたのは、マークだった。ものすごいスピードでマシューに向かって突っ込んでくる。だが、マシューは臆することなく受けて立った。
しかし、気合だけではどうにもならないのも事実。マシューの右肩をマークの爪が斬り裂く。
「ぐ……」
「やはり、所詮はその程度。人間如きが悪魔に勝てるはずがないのだ」
「ほざいてんじゃねえよ」
「!?」
マークの顔に少しだけ動揺が見えた。
「勝てる道理ぐらいあるに決まってんだろうが!!」
轟! と、紫の炎が爆発するようにマークに襲いかかる。
「ごほっ……」
マークを一旦退けた。
「こんな馬鹿なことが……」
マシューはさらに追い打ちをかける。
だが、
「図に乗るなよ、小僧。多少、手を抜いてやっていたからといって、そちらがその気ならその余裕を叩き潰すぞ!!」
片手で簡単に止められる。
「やってみろよ」
マシューはマークと距離をとる。
「……貴様のような小僧には、それが合っているのかもしれんな」
マークから赤いオーラが出る。それは、異様な雰囲気を放っていた。
マシューの表情も一変する。
「一瞬で決める」
そのとき。
既にマシューの後ろに回り込んでいたマークがいた。反射的に後ろからのマークの攻撃を防ごうとするが、間に合わない。
「ごはっ……」
マシューの口から赤い液体がこぼれ落ちる。
右肺のあたりには腕が……。そう。マークの腕があった。貫いていたのだ。そこからは、これでもかというほど血が流れていた。
「終わりだ」
「ち……くしょう……」
ドサッ、と崩れ落ちるマシュー。
「さて、次は貴様の番だ」
ミラのもとへ行こうとするマーク。だが、不意に足を捕まれる。
誰に? それは……。
「きひっ! よお、久しぶりのご登場だぜ!!」
マシューだった。だが、いつもとは違う。角や翼は少し欠けてはいるが、悪魔の姿だった。随分と前にも、同じようなことが……。
そう。ルシファーに訓練をしてもらっていた時やサーシャとの闘いの時のことだ。
「誰だ? お前は」
「誰かだって? 決まってんだろうが! マシューってよぉ!!」
再び立ち上がるマシュー。だが、内に潜む悪魔として。彼自身、まだ気づいていないが……。