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悪魔と神の子  作者: Leone
第三章 記憶編
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第65話 奇襲

「私を生贄にしたらどうだ?」

 唐突な質問。

 だが、マシューはもちろんこう答えた。

「おい、ふざけんなよ。俺がそんな内容に賛成するとでも思ってるのか? もし、罠として生贄を捧げるふりをするなら、俺がやる」

 そう。もちろん、ミラは罠としてこの案を提案したのだ。

 悪魔を誘き出し、倒す為に。

 だが、マシューはそれを認めなかった。いや、認めるはずがない。普通の者なら、簡単に仲間を罠のために利用するはずがないのだ。

 マシューもその一人。

 それに対して、ミラの方は、

「実験経験の少ない者にやらせる方が愚かだ。それではお前だけでなく、下手をすれば他の仲間もやられてしまう」

「確かにそうかもしれない。でも、俺はそんなことをさせたくないんだ」

「そんなものはただの感情論だ。民間人を危険に晒さないようにするには、どうしようもない時がある」

「…………」

 マシューは血が出るくらい噛みしめていた。

「わかってくれたのか?」

「……全然、わかんねえよ」

「?」

 マシューの口調が微妙に変化していたことに気付いたミラは、ほんの少しだけ不安を覚えた。

「だってよ、俺があんたよりも強けりゃいいんだろ?」

 そのとき、ホテルの窓のガラスが突然割れた。ここは結構地面から高いところなのだが。

 そして、そこから聞こえる声。

「エクソシストか。これはまた、随分といい獲物にありつけたな」

 たった一人の悪魔。

 その姿は金色の髪を長くのばし、青い尻尾のある悪魔だった。

「作戦不要か……」

 ミラは少し苦笑していた。

 それは、たった一人でエクソシスト二人に挑む悪魔に対してだった。

 だが、その悪魔は表情を全く変えなかった。

「私は地の悪魔、マーク。貴様らの魂をいただきに来た」

「上の命令かい?」

「……言う必要はあるまい」

「確かにね」

 そのとき、二つの剣が火花を散らす。

「マシュー! 周囲にいる民間人を早急にこの場から離れさせろ!」

「ミラは……」

「私の心配などするな。こんな奴相手に負けなど、私の中にはない」

「聞き捨てならんな。お主、私を少しばかり舐めておらぬか?」

「いいから、行け!!」

 マシューはミラに背を向けて、走り出す。

 ミラのためにも。民間人のためにも。

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