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悪魔と神の子  作者: Leone
第三章 記憶編
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第63話 大能力者と能力者と……

 アリスは今、見知らぬ不良に絡まれていた。

 ただし、その不良はただの不良ではない。対悪魔用能力をその身に宿した者だったのだ。そして、その能力は水を武器とする能力だった。

 対して、アリスは電気の能力者。

 電気をあまり通さない水とは、相性が悪いのだ。だが、アリスは正真正銘の大能力者、レベル7。たとえ相性が悪くとも、その法則を裏返しにすることが可能かもしれない。

 だが、それは相手が弱かった時の話。

 今はまだ、アリスはその不良の実力を知らない。自分より弱いかもしれないが、逆に強い可能性もあるのだ。

 しかし、レベル7以上の大能力者はそうそういるものではない。

 つまり確率で表わすならば、自分よりも強い可能性は一割もないのだ。

 そう判断したアリスは、万が一の時のため、警戒しつつ相手の力量を測ってみることにした。

 まず、アリスが不良に向かって雷のかまいたちのようなものを放つ。

 それを奴は、水のバリアーで防ぐ。

「ちっ」

 思わず舌打ちをしたアリス。

「どうした? その程度じゃないだろ? ぶち殺す、ってんならもっと本気でかかってこいよ」

 挑発。

 だが、アリスは頭にきていても、冷静に判断する。

「挑発、ってのはあんたの専売特許なのね。ほんと、むかつく!」

「そうか。それじゃあ、ちょっとサービス。俺の能力レベルは5だ。余裕の相手だろう?」

「馬鹿じゃないの。そんなんで、引っかかるわけないじゃない。この私が!!」

「ふっ……そうか。君はほんとに……」

「?」

 首をかしげるアリス。

 対して、その不良は「くっくっく」と、苦笑していた。

「何がおかしい?」

「気付いてないのか? やはり、ガキは無知なこと極まりない……」

「だから、何だって言ってんのよ!!」

 声を荒げるアリス。

 そのとき、それは正体を露わにした。

「俺はレベル5だと言ったが、それこそが罠。つまり、それにわざわざ警戒してくれたおかげでできた時間を利用し、大技を決める。それこそが、この俺の本当の専売特許だ」

 そう。あえて自分の能力を明かし、それに対して警戒をしている隙をつき、一撃で決める大技をしかける。

 その大技とは、相手の周囲を水で取り囲み、対象の相手を水圧で押しつぶす、といった非常に強力な技だった。

 罠にはまってしまったせいで、回避のしようがないアリスは完全に終止符を打たれてしまった。

 だが、そのときアリスの周囲を取り囲んでいた水の大技を、強制的に打ち砕く雷が天から落ちてきたのだ。

 水の大技はただの雨のように、周りに降り注ぐ。

 その中には、唖然と口を開ける者と、勝ち誇ったような笑みを浮かべる者がいた。

 前者は不良。

 後者はアリス。

 面倒な罠まで施しておいたのにも関わらず、圧倒的な強さを見せつけるレベル7。

「そんじゃあ、あんたの言うとおりぶち殺してあげようか!!」

 そのとき、初めて恐怖に染まる不良の面。

 もう、彼の瞳には希望というものが全く存在していなかった。

「う、うああああああああああああ!!」

 ついに恐怖のあまり、正気を保てなくなってしまった。

 そして、レベル7には慈悲というものが欠片もなかった。

「あんたが言ったんだから……。喧嘩を売ってきたのもそっちの方だし。覚悟はできてるよね?」

 バチバチ、と雷の音を派手に鳴らすアリス。

 そのときだった。

 今、誰もが恐れている怪物が現れてしまったのだ。アリスたちの目の前に。銀髪に、青い瞳の少年が……。

「よぉ!! 楽しそうなことやってんじゃねえか!!」

 そう。シオン・レクータが。

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