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悪魔と神の子  作者: Leone
第三章 記憶編
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第61話 多種多様な悪

「さて、仕置きの時間だ」

 ヴェインはたった一人、巨大な剣を持って銀行の中にいた。その剣は四メートルぐらいある、西洋風の大剣だった。剣全体が銀色の大剣。

 そして、銀行強盗はざっと七、八人くらい。

 それに対して、人質は三十人前後くらいだった。

(ったく……。何て様だ。これだけいて、一人も反抗しないのかよ)

 そんなことを思っていたヴェイン。

 そのとき、再び話し始める。

「わかってると思うが、俺はただの人間じゃねえぞ。死にたくないなら、全員でかかってこい。ま、どの道助かりゃせんだろうがな!」

 そう、彼は対悪魔用能力を持つ、能力者の一人。さきほどの轟音は彼の攻撃が原因だったのだ。誰もいないところに放った威嚇攻撃だが。

 そして、彼の能力は極めて特殊だった。その能力は、

「ほれ、さっさとかかってこんかい!」

 見えない斬撃を放つこと。

 ただの銀行強盗相手なら、十分すぎる能力だった。

 その斬撃を放つたびに、建物に亀裂が入る。

「少しは抵抗して、楽しませてくれよ。なぁ!!」

「――っ!!」

 銀行強盗全員が息をのむ。

 それは恐怖からだけではない。殺しを楽しむヴェインに驚いているのだ。

 彼らとて、銀行強盗をやりたくてやっているわけではないのだ。金銭問題で困った者が集い、このようなことをしなければ生きていけなかった。だからこそ、仕方なくやっただけのこと。

 だが、ヴェインは違う。彼には理由など全くない。ただ純粋に、殺しを楽しんでいるだけだ。

 いくら相手が悪人とはいえ、これはさすがに理解ができなかった。

 決して、自分たちの悪行を誤魔化そうとしているわけではない。ただ、彼が犯罪を犯さない悪だ、と確信をしていたのだ。

 だが、そんなことがわかったところで、事態は変化しないのが現実。

 彼ら銀行強盗を守る人などいるわけがなかった。もっと言うならば、人質など動くはずがない。

 たとえ、ヴェインが真の悪だとしても……。

 したがって、助かるには一つしかない。

 逃げるしか。

「さあてと、そろそろ貴様らに切り傷を入れていきますか」

 そのとき、銀行強盗の中の一人が背を向けて逃げようとする。

 だが、それを許さないのがヴェインだった。

「誰が逃げていいって言った? ふざけんじゃねえぞ、三下が!」

 彼の能力、見えない斬撃がその銀行強盗を襲ったのだ。

 当たり前だが、そんなものをくらった銀行強盗は一瞬で息絶えていた。

「ちっ……。やっぱ、普通の野郎を殺してもつまんねえわ!」

 残りの銀行強盗を薙ぎ払う見えない斬撃。

 そして、

「もう安心だろ? さっさとこの建物から出て、警察のところへ行け」

 三十人前後いる人質へ話しかけるヴェイン。

「……」

 人質は何も言わず、そして全員が彼に頭を下げる。

 助けてもらった礼として。

「ったく。ほんと、くそったれな野郎だぜ。俺は……」

 一人になったヴェインは、そう呟いていた。

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