第56話 初めての……
依頼を頼まれた町にようやく着いた、マシューとミラ。とりあえず、マシューが入る学校のところへ行く二人。
一見、普通の町とほとんど変わらないこの町。まあ、それでも裏ではいろいろやっているらしいが……。
今回マシューが入る学校は、少し学力レベルの低いところだ。なぜなら、マシューはほとんど記憶がないため、勉強など全くできないからだ。本来の依頼よりも勉強の方に苦戦してしまうかも……。
「やっとか……」
ミラがそう言った時、目の前にはその学校があった。見た目は、それほど悪くなく、結構上位の学校にも見えた。
「緊張するな……」
「記憶がない以上は仕方がないよ。ま、そうかたくなるな」
そして、学校に入る二人がいた。
校内も外と同じく、それほど悪くはなかった。
「ええっと、とりあえず校長室かな?」
そう言いながら、ミラは校長室を探す。あらかじめ地図は持っておいたため、それほど道には迷わなかった。
校長室の前。
ノックをするミラ。
「どうぞ」
「失礼します」
部屋の中には男の校長が一人。ミラとマシューを見た瞬間、その校長は椅子から立ち上がり、
「これはこれは、こんにちは。あなたたちでしたか」
その校長は笑顔で挨拶する。
「ええっと、君がマシュー君かね?」
「はい、そうです」
「一応ミラさんからお預かりした書類に目を通したのだけど、記憶の件、大変だろうけど頑張ってくださいね」
「はい……」
「ええっと、君は今日からもう授業には参加するんだったね。それじゃあ、教室まで案内しようか」
「お願いします」
そこでミラが、
「じゃあ、私はそろそろ……」
「あ、はい。わかりました」
そして、ミラはこの場から去る。でも、おそらく学校の周りを見張っているのだろう。
「それじゃあ、行こうか」
「はい」
記憶がないために初めての学校。一体、どんなものなのだろう?