第51話 大地を司る悪魔
ミラが三匹の悪魔を倒したとき、ベリウスという少年は安堵のため息をつく。だが、この町にはまだまだたくさんの悪魔が残っていた。
ミラと少年は、大量の悪魔たちに囲まれる。そして、次から次へと悪魔が襲いかかって来たのだ。
「ベリウス!! 剣を抜け!! いざという時のために、闘えるようにしておくんだ!!」
ミラは少年を守りながら、そう言った。
「わ、わかった」
そのとき、少年の剣から紫の炎が燃え盛る。
「!!」
「な、何なんだ? これは」
「おもしろいじゃないか。エクソシストになれる奴に会えるなんて……。何年振りだろうか……」
「俺が、エクソシスト?」
ミラはうなずく。
「ひょっとしたら、記憶があったころ、エクソシストだったのかもね……」
「じゃあ、俺も闘えるのか?」
「たぶん……。でも、今は無理せずに敵が来たときだけ、攻撃しなさい」
「わかった」
少年の目は、怯えていた時とは違い、力強くなっていた。
そのときだった。
「おめえら、少しおとなしくしてろ」
黒い髪を長くのばし、尻尾のある男の悪魔。おそらく、こいつらのリーダーだ。
「おい、おめえ。俺のこと、あの空野郎に聞いてるか?」
少年に指をさす。
「誰のことだ?」
「……どうやら、本当に記憶がねえらしいな。俺の名は、テラール。ちなみに」
「地の王か……」
「そうだ。よく勉強してるな、エクソシスト」
「地の……王?」
「大地を司る、悪魔の王様なんだ。あいつは……」
「それって……」
「ああ、相当まずいことになったな」
「案ずるな。今回は手は出さねえ。俺は別の用事があって来ただけだ」
「用事だと?」
「ああ。これだよ」
テラールが青い石を少年の前に投げた。
「そいつは、おめえの記憶を取り戻すことができる、唯一のアイテムだ。だから、それを飲み込め」
「どういうことだ?」
「信じるか信じないかは、おめえ次第だ。後は好きにしろ」
そう言って、テラールたち悪魔は悪魔の世界へ帰っていく。