第5話 伝説の魔龍
気がついたら俺は、アザードの城の中にいた。
「目が覚めましたか、マシュー様」
ルシファーが言った。
「俺は……どうしてここに?」
「私がマシュー様に切られた後、あなたも気を失って……。そしてロドスがそれに気づいたのでここまで連れてきたそうです」
「そうか……すまなかった。切るつもりは毛頭なかったんだが……」
「自分の中の悪魔があばれて制御できなくなるのは、たまにあることですから」
「そういうことだったのか……」
「まあ、悪魔の治癒能力は普通じゃないですから心配は御無用です」
「すまない……」
「そういえば、伝説の魔龍の話を聞いたことはありますか?」
「いや……ない」
「伝説の魔龍というのは、大昔強大な力をもった魔将がいたんです」
魔将というのは悪魔の長のことだ。
「その魔将は他の弱い魔将たちをも従えていました。そして、遂には獣の悪魔でさえも従えようとしました。ただし、伝説の魔龍だけは反抗していました。魔龍は自分の龍の団体を結成し、それを魔龍組と言った。今もその魔龍組と魔将との闘いは続いているそうです」
「なぜ、そんな話をする?」
「実はこの魔龍組をうまく説得して、魔将を討とうとしているのですが、なかなか魔龍組が見つからなくて……」
「俺にも協力してくれと言うのか?」
「よろしければやっていただきたいです」
「その魔将はどのくらい強い?」
「はっきりとは……能力がわかりませんから」
「能力?」
「悪魔は固有の能力をそれぞれ持っています。もちろんマシュー様も炎を扱う能力を持っています。なぜ、紫色なのかは全く謎ですが……」
「へえ、そうなんだ」
「それで、協力していただけますか?」
「わかった、協力する」
「ありがとうございます」
こうして、俺は魔龍組を探すことになった。だが、城を出てすぐに龍が現れた。
「マシューさんですね、魔龍組の者ですが、我々と一緒に魔将と闘っていただけませんか?」
龍が言った。
「こっちもお前らを探しに行くところだったが、手間がはぶけてよかった」
「ほんとうですか!?」
「うそじゃねえよ」
「では、私の背中に乗ってください。あ、申し遅れました。私の名前はディオスといいます。宜しくお願いします」
「宜しく、マシュー・ボルスだ」
「私はルシファーだ、宜しく」
「我が輩はロドスと申す、宜しく」
「いつからそこにいたんだ!?ロドス」
「我が輩の能力は言ってなかったですね。我が輩の能力は闇にまぎれて敵を背後から攻撃することです」
「すげえ」
「マシュー様の方がおそらくずば抜けて我が輩よりも強いですよ」
「そうなのか?」
「あなたは前にも言ったように悪魔と神の子ですから」
俺は3人の仲間とともに魔将を討つために魔龍組のところへ行った。まだ魔将のことを何1つ知らずに……。