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悪魔と神の子  作者: Leone
第三章 記憶編
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第49話 新たな始まり

 私の名前はミラ。「エアリウス」という魔剣を扱える魔剣士だ。

 今私は、人間の対悪魔用組織、「エクソシスト」の仕事でとある町に行こうとしているところだ。その町は、噂によれば呪われているらしい。たとえば、その町に入った人は二度と帰ってこないか……。

 そういうよくありそうな呪われた町に行くのだ。

 エクソシストは、そう言った場所へ行き、調査をする。そして、原因が悪魔なら躊躇なく排除する。もし、ただの噂話だった場合は組織へ戻る。そして、次の仕事へ……。

 こういったことを、エクソシストは人間を守るために毎日行っている。

 そもそも、エクソシストはどうやって生まれるのかというと、私の場合は魔剣を扱えたからである。大抵は、魔剣を扱うことなどできない。だが、まれにそういう人間がいるのだ。

 他にもいろいろ特殊な能力があるが、それを一つでも持っている場合は、エクソシストに任命される。

 能力のある人間を見つけるチームもエクソシストの中にある。最近は、随分と見つけることが少なくなっているのだが……。

 そして、私はその呪われた町に行くのであった……。



 ミラがその町に到着すると、天気は最悪なものだった。まさに呪われた町にふさわしい、大雨だったのだ。

「ひどい雨……」

 ミラは傘をさし、町を探索する。

 町の様子は、人の気配が全くしない、いわゆる廃墟となっていた。

 その町の真ん中で、少年を見つける。真っ赤な髪に真っ赤な瞳の高校生ぐらいの少年を……。

 その少年は、傘もささず、雨にうたれながらその場に佇んでいた。

「あの~……」

 ミラはその少年に話しかけてみた。

 少年はこちらを振り向く。そして、少年は言った。

「私のお知り合いさんですか?」

「え?」

「……実は、何も覚えてないんです。自分の名前すらも……」

 その少年は記憶喪失だった。

「もし、私の名前をご存知でしたら教えていただけませんか?」

「……ごめんなさい。今、会ったばかりだから……」

「そうでしたか……」

「あの、」

「?」

 少年は首をかしげる。

「この町についてもご存知でないんですよね?」

「ええ、まあ……」

「この町、呪われているっていう噂があるんです」

「呪われている? じゃあ、あなたもここから逃げないと……」

「私は仕事でここへ来ているので……」

「でも、私は記憶がないので誰かの近くにいたいんです。不安なので……。あの、一緒に行動するのは、だめ……ですか?」

「……」

 ミラは戸惑いながら、こう答えた。

「いいでしょう。ですが、決して私から離れないように」

「ありがとうございます。あの……、お名前は?」

「ミラです。宜しくお願いします」

「こちらこそ」

 ミラとその少年が握手をする。そのとき、ミラはあることに気がつく。少年が剣を持っていることに……。なぜ、今まで気がつかなかったのだろう? そう思った。

「その剣は?」

 ミラは尋ねてみた。

「気がついたときに持っていたんです。記憶がないのでわかりませんが、たぶん私にとって大事な物かと……」

「そうですか」

「そういえば、あなたも剣を持っていますね」

「ええ。これは魔剣と呼ばれている剣でして……」

「魔剣?」

「そうです。悪魔の力が宿っている剣のことをそう言います」

「悪魔?」

「話せば長くなるのですが……。簡単に説明しますね。この町は、呪われた町と呼ばれていますが、実際はそうではない可能性があるのです。どういうことかというと、その悪魔が絡んでいることがあるからです。稀ではありますが……。それを確かめに来るのが、私の仕事なんです」

「もし、その悪魔が絡んでいるとしたら?」

「その場合は、この剣で悪魔を殺します。そうすれば、その町も元に戻り、妙な噂も消えるということです。逆に悪魔のせいでなく、単なる噂話ならそれで済みます」

「ということは……、この町は危ない可能性があるということなのですね?」

「はい。ですから、離れないようにと……」

「わかりました」

「いざとなったら、迷わずその剣を抜いてくださいね」

「はい。あ、ちなみに、私のことはベリウスと呼んでくれますか? さっきも言ったように、名前を覚えていませんが……」

 なぜか、ベリウスという名前が頭に浮かんだ。過去に何かがあったのだろうか……。

「……わかりました、ベリウスさん」

 こうして、ベリウスと呼ばれる少年とミラの調査が始まる。

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