第46話 クアトル
デサーズの隠れ家。
デストの全員が死んだので、アルマのチームは次の作戦を練っているところだった。
「さて、次はどうするのか……。やはり、ここは全力を挙げて一気に潰すべきか……」
アルマが提案する。だが……。
「そうかもな……。だが、全力を挙げる必要などない」
「……どういう意味だ?」
「俺たちは一介のギルドの者だと教えていたが、あれは嘘だ。俺たちは、本当はとある闇ギルドに所属していた者だ」
「…………」
真実を知り、言葉を失うアルマ。
「そのギルド名は、クアトル。そのギルドマスターがこの俺……」
茶髪に黒のスーツといった男がそう言った。
「ようするに、あんたは一番役に立たねえ奴だってことだ」
そのとき、アルマはこの男の槍によって、殺される。
「だからさ、もう楽になれ」
アルマは死んだ。残りは元闇ギルドの者が四人、そう、四人もいるのだ。闇ギルドであった者が……。
「おい、あいつにエリーはもうどうでもいいから戻って来いと伝えろ」
「わかった」
「それと……、お前」
「私?」
「そうだ。奴らを殺せ。あんな奴の言うことなど気にせずに、さっさと殺してこい。それと、龍どももだ」
「……わかった」
「シュド……、貴様の平和は、俺がぶち壊してやる!」
どうやらこの者たちは、あの謎の計画には反対のようだ。
そして、マシューたちは……。
「全く……、俺が気を失っている間にお前は何をしてロットを倒したんだ?」
「俺は特に……。あいつが無理な力を使ってほぼ自滅だったから……」
「でも、アイスによればそれを受け止めたとか……」
「それはその……、あれだよ。たまたまうまくいっただけで……」
「はあ…………。ま、無事に勝てたからいいとするか……」
自分でも信じられなかった。あの強力なEMLを受け止めるなんて……。
「んで、本当の問題があるんだよな? アイス」
「ああ。あのときは何が起きているのかわからなくて……。だが、今は何となくわかる。あれは、おそらくアルマたちがデストを裏切ったのだろう。ただ……、それよりも……」
「それよりも……、何だ?」
「アリナを殺した野郎、あいつは正真正銘の化け物だった。今まであった中でも、次元が違いすぎる。何かこう、言葉では言い表せないくらいというか……」
「どんなやつだった?」
「茶髪に黒のスーツ姿の男だった……」
「ば……!!」
「どうした? ベリウス」
「俺は……そいつを知っている。闇ギルドのトップ4の中で最も強く、さらに他の者とは全く違う世界にいるぐらい強すぎる闇ギルドのマスター……。そのギルド名はクアトル」
「私も知ってる」
ネリアが割って入る。
「そいつは、右腕のデクテラーと呼ばれているわ」
「ああ。確かに正真正銘の化け物だな……」
「でも、この世界にいるってことは、そいつより強い奴がいるってことだろう?」
「ああ。でも、その強い奴をお前は知っているんだろう?」
「……いや、知らないな」
「……そうか。なら、教えておこう。そいつの正体は、お前の親父だ」
「え?」
「神の中で神という座についている者……、それがお前の本当の親父なんだ。つまり、神様の神様ってことだ」
「何で……そんなことを……」
「名前を聞いたとき、もしやと思ってな……。たぶん、間違いはないだろう」
マシューの父が神様の神様……。どれだけ高い地位なのかは、何となくわかる気がする。そんなすごい人の血を引き継いでいたのか……。だから、こんなに力が……。
自分が何者なのか、少しずつ分かっていく中で、魔龍たちはひどい目に会っていたのだった……。
「あらまあ、情けないこと。こんなにたくさんいながら、傷一つ負わせられないなんて……」
「く……そ……」
「じゃあね、サラムさん」
魔龍組の者は全員殺されたのだった。たった一人の女によって――。