第40話 デスト
まず、アイスが少女の動きを封じ、ネリアがマシューを抱えて逃げる。
残りの二人は、アイスと一緒にできるだけ時間を稼ぐ。
「おい……、俺を……降ろせ」
「何言ってんのよ! あんたはもうボロボロ。あの三人を助けたいって言うなら、やめといた方がいい。ボロボロのあんたが行っても、足を引っ張るだけだからね」
「…………畜生」
「大丈夫。あの三人は結構強いから。特にベリウスはね……」
「それでも……、勝てないんだろ?」
「……かもしれない。でも、三対一ならひょっとすると……。でも、生き返れるのは一人だけだけどね」
「……ずっと気になっていたんだが、あの少女、一人だけじゃあないんだよな?」
「よく気付いたわね。あたしはそれに気づくまでどれだけかかったことか……」
「ベリウスが知ってる時点で、誰かが試したとしか思えない。だから、何人もいるか、それとも一人だけだけど、奴自身は何回もこの世界に戻ってくるか……。そのどちらかだろう……」
「確かにそうね……」
「それで、もしもたくさん来たらどうなる?」
「……、まず勝てない。でも、そんな可能性をいちいち気にしてたら限がない。だから、信じるしかないのよ」
ネリア自身もつらいのだろう。そんな顔をしていた。
大分、遠くまで逃げたところで後ろを振り返る。
だが、誰もいない。誰も……だ。
「くそ……」
「まだ決まったわけじゃないでしょ。待ちましょうよ、ここで」
どれくらい経ったのだろう……。一秒一秒がとても長く感じられる。だが、実際は三分も経っていないくらいだろう。
そして……、四つの人影が見えた。
「みんな!! 生きて……」
だが、そんなにあまくはなかった。その四つの人影は……。
「よお、久しぶりだな。デッサイを倒したみてえじゃねえか。褒めてやるよ。あいつは結構強いはずだからな」
ロット。
アリナ。
ディール。
レイ。
デストの残りの四人。
非常にまずい。二対四では話にならない。とりあえず、デッサイは倒せたが……。
「どうする?」
「あたしだってわからないよ」
「じゃあ、一旦逃げるか」
「それしかないわね」
「何をゴチャゴチャ言ってんだ? こっちは仇討ちしに来てんだ。とっととかかってきやがれ、くそ野郎!!」
相当怒っている。このままでは……。
「おい、俺達のいない間に勝手に進めんじゃねえ」
ベリウス。
アイス。
リーティス。
今度こそ、本当にアルゴンの仲間だ。
「あいつは……?」
「あの少女なら、何とか振り切った。危なかったがな」
「あの程度の力のくそ餓鬼に手間取るだと? 笑わせんな! てめえ、リーダーなんだろ?」
「……口の悪いくそ野郎だな」
「……ぶち殺す!!!!」
デストの四人VSアルゴンの五人。人数的にはマシューたちの方が有利だが、果たして――?