第39話 シオーネ!?
デッサイとの闘いが終わった。
「ごめんなさい。手を出しちゃって」
「いや、いいんだ。助けてくれてありがとな、リーティス」
少し笑顔になるリーティス。そのとき、マシューは妙なものを見る。
「シ……オー……ネ?」
まさか!? そんなはず……。何でここにいるんだ? ひょっとして、死んでしまったのか?
あらゆる疑問が頭に浮かんでくる。だが、それよりも会えた喜びの方が勝っていた。
「シオーネ!!」
今度ははっきりと。
マシューはシオーネのもとへ駆け寄り、思いっきり抱いた。
「シオーネ、どうしたんだ急に……」
だが、返事はない。それどころか……、
「あ……れ…………?」
腹から血が出ている。刺されたようだ。だが、誰に?
後ろにはアルゴンの仲間以外誰もいない。前には……。
「シオー……ネ?」
「そいつから離れろ!!」
ベリウスが叫んだ。
「そいつは幻覚だ!! 早く離れるんだ!!」
幻覚だと? じゃあ、こいつは……。
再びシオーネを見てみると、そこにはあの少女が立っていた。
「うそだろ……」
「チュウコクシタハズデスガ……。マア、コレハコレデイイデータニナルノデスガ……」
まさか、あの時のことか……。
迂闊だった。
そもそも本人ならさきほどのような反応はありえない。
早く気付くべきだった。
「くそ……」
マシューはたくさん攻撃を受けている。故に立っていられずに、その場に倒れこむ。
その場が、さっき刺された傷から流れる血でいっぱいになる。このままでは、死んでしまう。だが、あの少女がそこにいるのだ。無理に近寄れば、間違いなく返り討ちだろう。
それでも……。
「マシュー!!!」
ベリウスは動く。
他の者も動く。
なぜだかわからないが、普通ならそんな体力が余っていないせいで動けないはずのリーティスも動く。
たった一人の男のために――。