第35話 レッドモンスター
修行をしていたアルゴンの者たちの前に、突如現れたエリー。そして、エリーを倒したマシュー。だが……。
「お前は……」
マシューの目の前にいるのは、あのデサーズの者……、そう、エリーだった。
「何で……生きて……」
驚くマシューに対して、エリーは笑っていた。
「殺したはず、でしょ? 確かに私は死んだ。私のコピーがね……。だから、オリジナルの私はまだ生きているの。この死の世界で……」
「コピーだと?」
マシューとベリウスが同時に言った。
「ま、コピーだからあんなのはカス同然なんだけど……。ずいぶん苦戦していたね。本当の私に勝てるのかな?」
「……一つ聞こう。お前はコピーよりどれくらい強い?」
「……以外ね。私が本当にオリジナルじゃなくて強さを聞くなんて……。まあいいわ、答えてあげる。私は召喚者のくせにあんまり召喚については鍛えずに、私自信を鍛えていたから、私はコピーの十倍から二十倍くらい強いかもね」
そんな……馬鹿な…………。逆に言えば、最大二十倍の力は出せるってことだから、あんなに苦戦した俺には天と地がひっくり返っても勝てるわけがない。
「ちっ……、化け物かよ……」
「逃げようなんて思わないことね。私なら、あんたら全員一瞬で殺せる自信があるんだから……」
闘ってもダメ、逃げてもダメ。いったいどうすれば……。どこかに突破口はないのか?
「やっぱり、最初に殺すのはあんたよね。私のコピーを殺してくれたんだから」
一番最初に選ばれるとは……。不幸だ。
「いいぜ、いつでもこいよ」
「強がりはやめておいた方がいい。弱く見えるからね」
「……」
「誰がてめえに殺す奴を選ばせるか! くそったれが!」
ベリウスがキレていた。
「へえ……。面白い奴ね。威勢のいい奴は嫌いじゃあない」
「残念だけど、俺には勝てない」
「……なぜ?」
「言っておくが、この俺の今の姿は真の悪魔の姿ではない。抑えても、これが限界だからこうなっているだけ……」
?? そんなこと、聞いてない。でも、これがハッタリでないなら……。
「俺がもし真の姿を解放すれば、どうなるか知っているのはそこの三人だけ」
ベリウスがネリア、リーティス、アイスに指をさす。
「悪いことは言わん。すぐに立ち去れ。俺たちを倒すなら、お前ら全員でかかってこい」
「はっ…………。この私を侮辱するなんてねえ……。ほんっと、ありえない!!!!」
突然、エリーが槍を召還し、ベリウスを殺そうと突っ込んでくる。
だが……、それはベリウスが起こした巨大な爆発によって妨げられる。
周りの建物が、どんどん溶けていく……。隠れ家も含めて……。それだけ熱いのだ。地面のアスファルトも、ベリウスの周だけだが真っ赤になるくらいだった。
そして……、そのベリウスは……。
ありえないほど巨大な、炎を纏った怪物。上半身は人間、下半身は馬みたいな感じだが、少し違う。四本のすべての足には三本の巨大な爪があり、尻尾は炎そのものだ。そして、頭には巨大な一対の角がはえ、両手にはありえない大きさの炎を纏った剣があった。十メートルはあるだろう。
このベリウスは本当に見上げるくらい巨大だった。全長二十メートルを超えているだろう。
それを目の前にしたエリーは……。
「上等じゃないの!!」
ベリウスVSエリー。本当に熱い闘いが幕を開ける。