第34話 真実は……?
エリーとの闘いで傷ついたマシューが回復したところで、再び修行が行われていた。
マシューの修行相手はベリウス。ネリアはリーティス。アイスはサラムと修行していた。その時、ベリウスがいきなり奇妙なことを言い出した。
「見られているな……、誰かに……」
「え?」
「おそらくデサーズの者だろう。ったく、本当に馬鹿な奴らだな。またやられにくるとは……」
「……こっちから仕掛けないのか?」
「無理にすることはないだろう。相手も今は襲う気はないらしいからな」
「すげえな。俺にはそんなのわかんねえんだけど……」
「殺気を感じるのは重要だぞ、マシュー。ま、こういうのはいつの間にかできていたってやつだから、無理に修行を割いてやる必要はないがな」
「そうか……」
だが、ネリアとリーティスは……。
「ねえ、リーティス。あんた、あれどう思う?」
「隠れている敵のこと?」
「そうよ」
「そうね……。私はあんまり気にしないでもいいんじゃないかなと思うよ」
「そうじゃなくて……、あれ、ひょっとしてエリーじゃない?」
突然、小さな声になる。
「まさか……、そんなこと……」
「雰囲気が似てるんでしょ? あんたと……。もしそうなら、あれはコピー能力を持った悪魔を召還したのかもしれない」
「確かにそれなら筋は通っているけど……。でも、ありえないと思うよ」
「何で?」
「召喚の力で自分のコピーを作った場合は、大抵は力が召喚者自身の1/10ぐらいになるから……。あれが召喚だったら恐ろしいことになる……」
「…………」
そこまで詳しく知らなかったネリアは、そのことを聞くと何も話せないくらい恐怖に襲われた。決して、誰にも気付かれないようにだが……。
そして、アイスとサラムは……。
「サラムさんはどうするつもりだ? あの敵」
「そうだな……、私なら奇襲をかけ一撃で決める。無駄な血を流さんためにもな……」
「……そう言うと思ったよ」
「ま、安心しろ。勝手な行動は慎むつもりだからな……」
このようにアルゴンの者が気にかけている敵は……。
「全く、何でこうも簡単にばれるかな。ほんっと、ついてないなあ、私……。でも、それに気づいてもあんたらの負けは決定事項だけどね」