第33話 召喚者
俺はエリーに言われたとおり、もう一発放って決着をつけようと思っていた。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
俺もエリーもお互いにけがをしていた。だから、俺はこれに全力を注ぐ。
一方エリーは、
「やっぱり、結構強いね。死の王を倒したっていうのは、納得いかなかったんだけど……。これなら、勝てるのかもね……」
だが、
「でも、私は負けない。いや、負けてはならない。生き残るために……」
マシューの衝撃波、エリーの緑に光る槍。どちらも一撃で決めるために、すごい力を放っていた。
そして、向かい合うマシューとエリーの両方から力が放たれる。互いの力がぶつかり合った瞬間、すさまじい爆発音がこの死の世界全体に響き渡った気がした。
勝者は……。
「私の負け……か……。でも……、まだ終わっていないから……」
ドサッ、とエリーは倒れた。
「うおっしゃあああああああああああああ!! 俺の勝ちだ!!」
俺は喜びの雄叫びをあげていた。他のみんなも少し笑っていた。
「よくやった。やはり、お前には素質がある。この調子でどんどん強くなっていこう、マシュー」
「おう!! もちろんだぜ、ベリウス」
「だけど、この傷だから少し休んだ方がいいんじゃない?」
「ああ、確かにな。腹を深くやられてるから、少し休んでからまた修行だ。それでいいだろ? ネリア」
「そうね」
マシュー以外のアルゴンの者は隠れ家の破壊された部分を直していた。
マシューは傷を癒すため、安静にしていた。
「なあ、エリーのあの技ってどういう能力なんだろうな」
「さあね。あたしにも全くわからない。あんな能力見たことないからさ」
「…………」
「でも、私はあの能力知ってる気がする」
リーティスが俺が休んでいる部屋に入りながらそう言った。
「いったいどんな能力なんだ?」
「知ってる気がするだけだから、はっきりとは……。でも、あれは私のと似ている気がしたの」
「そんなのありえない!」
え?
「まだ話してなかったけど、リーティスの能力は召喚なの。つまり、いろんな悪魔を呼び出すことができる能力。あのエリーっていう女の能力はどう見ても召喚じゃなかった。一緒なんて絶対にありえない」
じゃあいったい何で……?
「それに……、召喚のできる悪魔なんて十人もいないっていう噂なのに……。それが二人も目の前にいたなんてありえない」
「…………」
沈黙が続く……。そこへベリウスが横槍をさす。
「まあ、気にすんな。たとえ二人いたとしても、本当の問題は別にある。そう……、あいつらのリーダー、アルマの力だ」
確かにそうだった。あの力だけは本当に厄介だ。俺のメインの炎の力。これを封じられるのだから……。
そして、一人誰にも聞こえないほど小さな声で呟く者がいた。
ネリア。
「もし、召喚者なら……、あいつは今度こそあたしらを潰しにかかる」