第32話 お手並み拝見
マシューVSエリー。これは、面白い闘いになりそうだった。
まず最初に動いたのは、マシューだった。地面を強く蹴り、猛スピードで突っ込んでいく。
対してエリーの方は、全く動かずにマシューの攻撃を待った。
マシューが鎌で攻撃すると、エリーは一ミリもないくらいすれすれでかわす。その後エリーは槍の柄の部分で、マシューを殴り飛ばした。決して、刃の部分は使わずに……。
それをものともせずに、マシューは起き上がり、再び鎌で斬りかかる。
だが、それすらもかわされ、今度は蹴りを入れられる。マシューは何とか踏ん張り、持ちこたえた。
「強いな、あんた」
「……なめてないでさっさと本気でかかってきな」
「ばれてたか……。じゃあ、お言葉に甘えて」
さっきよりも数倍速く斬りかかる。だが、それでもエリーにはかすりもしない。
その反面、マシューは何度も槍の柄の部分で殴られる。
「ちっ…………」
「……話になんないね。素直に全員でかかってくればいいものを……。本当に馬鹿じゃないの、あんたら」
「手え出さないでくれ、みんな。俺は一人でこいつに勝ってみせる」
マシューは鎌を持った右手を少し上げて、前に出ようとする者を止める。
「随分と威勢のいいくそ餓鬼だね。むかつくんだけど、そういうのさあ!!」
今度はエリーから攻撃をしてきた。槍を大きく振りおろし、それをマシューがかわしたことにより、地面が砕け散る。
「はっ、それでかわしたつもりかい?」
その攻撃に続けて槍を横に振り回す。これは避けきれずに、思いっきり横腹を斬られた。
そのせいで、血がぼたぼたと流れるように地面に落ちる。
「くそ……」
「ほらほら、さっさとしないと出血多量で死んじゃうよ」
確かに長期戦は避けた方が良さそうだった。だから俺は、鎌に力をこめ、紫の衝撃波を放った。そう、俺の奥義、ファイズを……。
「くらええええええええええええええ!!」
だが、エリーは全く怯えない。そして、俺の奥義を槍で薙ぎ払おうとする。
しかし、俺の奥義はそう簡単には防げない。現にあの少女には防ぐことができなかったのだから……。
でも、それをエリーは自分の槍に力をこめることで、結構持ちこたえていた。そして……、エリーの槍から緑の光が放たれる。
その場所が俺の奥義なのかそれともエリーの技なのかはわからないが爆発し、煙がエリーの姿を隠す。
その煙が晴れると、所々傷を負ったエリーが現れた。
「……なかなかやるじゃないか、マシュー」
「へっ……、まだまだこれからだろうが」
「面白い……。じゃあ、もう一発撃ってみろ」
槍を構えるエリー。そして、それに向かい合って鎌を構えるマシュー。マシューを見守るベリウス達。どう考えても、エリーが勝てるとは思えない。だが、マシューたちは一切油断しなかった。なぜなら、相手に味方がこの場にいないとは限らないから――。