第30話 巨大な敵勢力
アルゴンが結成されているとき、敵のチームにも動きがあった。
このファイアーズも、地上に隠れ家を持っていた。そこでは、マシューたちと同じように負けないためにも修行を行っていた。
そのとき、あの男がその場に訪れる……。そう、最強の契約者、シオンだった。
シオンに気づいたファイアーズの者は、誰もが同じ反応をする。恐れという反応を……。だが、できるだけ表には出さない。もしそんなことをすれば、どうなるか恐ろしくて考えられない。
だから、無理やりな笑みを浮かべて、アルマがシオンに尋ねる。
「シオンさん、今回はどんなご用件で?」
「ああ。ちょっと、お前らが弱すぎるんで鍛えさせようと思ってな……」
「マシューの件ですか……」
「……そうだ。そんなんじゃあ、話にならねえ。絶対にあいつを強くするためにもな……」
「すべてはあの人の計画のため……ですか」
「まあ、俺はたとえ大戦争が起きようと知ったこっちゃねえがな。で、俺のサービス受けるのか?」
「もちろん受けさせていただきます」
「ふっ……」
再び始まる修行。だが、シオンがいるとやはり周りの空気が一変する。
そんな緊張の中、次の客が訪れる。
その客は、ロット率いるデストだった。
「やあやあみなさん、修行の最中失礼しますが、ちょっとお話を聞いてくれませんかね?」
「ほう……、これはまた面白い客だな」
そう言ったシオンを見て、デストの者が全員息をのむ。
「シオンさん、いらっしゃったんですか。お久しぶりです」
「あいさつはいい。で、話って何だ?」
「では、単刀直入に言いますね。チームを組みませんか?」
「……なぜだ?」
「それはもちろん、マシューたちが魔龍どもと組んでいるからですよ。わかれてやると、おそらくかなり面倒になりますから……」
「そうか……。いいだろう、組め。俺としても、その方が都合が良さそうだからな」
「ありがとうございます」
「じゃあ、お前らも含めて修行だな……」
デストとファイアーズ、この二つを合わせてデサーズと呼んだ。
そして、修行をして二時間後……。
「俺はそろそろ、あっちの世界に帰るから……。ちゃんと、強くしろよ。両方とも……。じゃねえと、つまんねえからよ」
「了解です」
全員が揃えて言った。
こうして、最強の契約者はもといた世界へ戻ったのだった。
マシューたちはこのことを知らないが、あの計画とはいったい――。