第3話 悪魔とバンパイア
悪魔になった俺はとりあえず学校で生活することになった。
俺にはシオンという金髪で、青い瞳の友達がいる。シオンは俺とは真逆で、勉強はできるが運動は苦手だ。
ある日、体力測定の五十メートル走で、シオンは八秒台で俺は五秒ちょうどだった。
「五秒!? 早すぎだろ」
「俺もちょっとびっくりしてる」
おそらく悪魔の血が関係しているのだろう。だから、これからは気をつけようと俺は思った。だが、そう簡単に気をつけられるものではなかった。
握力では、なんと七十九キログラムだった。
次の日は、サッカーだった。これは、ものすごく気をつけたので、何とかなった。
そして、シオンと一緒に帰っている途中、信じられないものを見た。
それは、俺のクラスの隣に座っている女子を知らない女性が血を吸っているところだった。白く少し長めの髪、赤い瞳の女性だ。
「お、おい……これ……」
シオンがおびえていた。
「そこにいるのは誰だ?」
「あんたこそ何者だ?」
「私は悪魔のバンパイアだ」
「バンパイア?」
「そうだ。だが、そんなことを聞いてどうする?お前は人間だろう?」
「……」
「マシュー……」
「友達が呼んでるぞ?」
「シオン、お前は逃げろ」
「え!? そんなことできるわけないだろ」
「二人とも死ぬよりましだろ。それにお前は逃げ足がおそいからな」
「そんな……」
「そいつの言う通りだと思うぞ、私は」
「いいから、早く行け!」
「……わかった」
そして、シオンは走って逃げ見えなくなった。
「それでは、鬼ごっこでも始めるか?」
「……ひとつ答えていないことがあったな。俺は悪魔だ」
「ほう……。では私と闘うか?」
「いや、無駄な闘いはしない」
「無駄か……。では友達を殺したらどうなる?」
「貴様……」
「思ったとおりの反応だな。実に面白い」
「……」
「変身しろ。そのままじゃあ面白くない」
「……いいだろう。俺の力見せてやる」
俺は刀を出し、力を解放した。バンパイアも力を(本気だと思う)解放した。最初は勝てる自身なんて全然なかったけど、奴の蹴りをかわして自身が出た。
「やるじゃあないか。マシューよ」
「……」
今度は俺が奴に刀で切りかかった。すると、奴は少し驚いたためか、回避できずに腕を深く切られた。
「ちっ! 調子に乗るなよ小僧!」
奴は手をまっすぐ伸ばして俺の腹に刺そうとしてきたが、ぎりぎりでかわしたため横腹をすこし切った。そして、俺が切りかかると俺の刀をかわさずに余裕でつかみ、顔に蹴りをもろにくらった。
「お前の負けだ、マシュー。私のことを秘密にするなら見逃してやる」
「……わかった」
「さらばだ、マシュー。またどこかで闘うことになろう。……そうだ、私の名前を言っていなかったな。私の名前はサーシャだ」
そう言い残すとサーシャは去って行った。
「……畜生」
俺は家に帰った後悔しくて泣いていた。