第26話 目覚める力
結局、俺達アルスはファイアーズに宣戦布告などという馬鹿げたことはしなかった。そのかわり、やはり修業はこのチーム内ですることにしたのだった。
人数が奇数のため、交代しながら修業をしていた。
最初に、奥義を使えないんじゃあ話にならないから、俺とベリウスが闘うことになった。
「じゃ、修行を始めようか」
「よ、宜しくお願いします!!」
「いい心意気だ」
俺は悪魔の姿になり、ベリウスは元から出ている炎をさらに増やし、そのせいか、巨大な悪魔にも見えた。
「まずは、あの鎌にするところからにするか」
ぬおおおお! だが、いくら鎌にしようと努力しても中々ならなかった。
「おいおい、もっと気を落ち着かせろ」
「はいっ!!」
言われたとおりできるだけ気を落ち着かせた。すると、少し不安定だが鎌になりそうだった。
「お、あと少し」
だが、ちょっとした油断で剣に戻ってしまった。
「くっそー」
「まあ、粘り強さが重要なんだ。ほれ、もう一度」
繰り返すこと三十分。ようやく、できるようになってきた。
「よし。次は……、そうだな、俺の技を止めてみろ」
ベリウスの掌に炎が集中する……。そして、一つの炎の大砲みたいなのが飛んできた。
俺は、鎌でそれを斬り裂こうとした。が、少しずつ俺はそれに押されていった。
「く、おおおおおおおおおおお!!」
あの時の感覚。そう、あの紫の衝撃波……。あれさえできれば……。
「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!」
押されていた俺が、逆に押しかけていた。そのとき、
「んじゃ、もう一発」
「ぐ・・・、るうああああああああ!!」
再び、押されてしまった。しかも、さっきとは比べ物にならないくらいパワーだった。
「ちょっと、まずくない?」
「心配は無用だ、ネリア」
そのとき、俺の中で何かが弾けた。
それと同時に、一瞬で炎の大砲を吹き飛ばす。
「それだ、それこそがお前の力じゃないのか? マシュー」
「……ちげえ」
「何?」
「……俺の力はこんなもんじゃねえ」
鎌を一振りするだけで、下水道が崩れそうになる。
「おい、もうよせ。修業は中止だ。このままじゃあ」
「このままじゃあ、何だってんだよ?」
「あいつに……」
ベリウスの背後で爆発が起きた。そのせいで、言葉が聞き取れなかったが、答えは目の前に現れた。
俺がこの世界に来て最初に会ったあいつ……。
「くそ……早く逃げるぞ」
「……てめえらだけでな」
「何ふざけたこと言ってんだ!! マシュー」
「テキヲハッケン。ハイジョシマス」
地面を蹴って、猛スピードでくる金髪の少女。だが、俺はひるみもしなかった。むしろ、楽しんでいた。
「潰す!!!」
俺も地面を蹴って、金髪の少女とぶつかり合う……。