第21話 死の魔法
シオーネ……。早く俺が助けないと……。
「おい、死の王。今のうちにさっさとうせろ」
ルシファー……。
「はあ、何言ってんだ? 天の王様さんよお。引き下がるわけねえだろうがよお!!」
「ちっ。シオーネ、少し下がってろ。こいつは俺が一撃で殺す」
「またまたあ、かあっこいいこと言っちゃって。お前が俺に勝てるわけねえだろ?」
「昔と一緒にするな」
「今も昔も一緒さ。死を司る俺に勝てる奴なんざ、いねえんだよお!!」
気づけば双方ともに、武器を持っていた。ルシファーは槍を、デスは剣を持っている。それにしても、いつの間に出したんだ?
「いいね、いいね、いいねえ!!! 久しぶりに楽しめそうだ」
「……」
ルシファーの槍とデスの剣との間で、火花が散っていた。両方とも、やはりとんでもない強さだ。
「んじゃ、これならどうかな?」
デスは掌を前に向け、そこから魔法陣が出てきた。
「ちっ」
ルシファーが猛スピードで突っ込んでいく。だが、相手の方が早く魔法を発動させた。
「ぐあ!!」
ルシファーが地面に倒れこんだ。
「無様だなあ、天の王よ。我が死の重力に耐えられんか。ん? それでも、十の大魔王の一人か?」
「くそったれが……」
「いいねえ、その表情。たまらんよ」
ここでロドスが後ろから割って入った。
だが、軽々と剣で止められた。
「いかんなあ。卑怯はきらいだねえ。お前もそうだろう?」
「ちっ、化け物め」
その直後、ロドスはデスの剣をまともにくらって、たったの一撃で倒された。
「はや……すぎ……る……」
次はニアが挑んだ。だが、これもロドスとほぼ同じ結果だった。
下がっていろと言われたシオーネが、氷の槍をデスに投げた。床がぶち壊れるぐらいのすさまじい破壊力。にも関わらず、あいつは片手で受け止めた。
「だめだなあ、こんなんじゃあ、先が思いやられるよ」
「うそ……でしょ……!?」
「ふう、いい加減雑魚どもと闘うのに飽きたのだが……。どいてくれんかね」
「たとえあんたが強くても、どくわけないでしょ!!」
「……哀れだな。かわいそうなぐらい哀れだわ」
一瞬、本当に一瞬でデスはシオーネを気絶させた。パンチ一発で……。
「く……、いつまでもここで伏せてるわけにはいかねえか……」
「ふっ、やっと本番だな。このときを奴らとどれだけ楽しみにしていたか……」
「奴ら……?」
そんな疑問を堂々と無視して、闘いが始まった。マシューVSデスの闘いが……。