第20話 立塞がる死
シオンと会ってから一週間……。
俺達、マシューのギルドは城の破壊された部分を直していた。
「なあ、マシュー。少し相談がしたいのだが……」
「ルシファーか……。わかった」
とりあえず俺達は、皆がいない場所へ移動した。
「んで、相談って何だ?」
「最悪な情報が入ってな。しかも、二つ……」
「本当か?」
「ああ。一つは、シオンの件だ。あいつ、人間の住んでいる世界で随分と暴れているようだ。ここ二,三日はおとなしいが……。二つ目は、……十の大魔王の一人がこちらを狙っている……」
「ふうん。……っておいおい、そりゃまずくねえか?」
「ああ、相当まずいな。しかも、死を司る死の大魔王っていう話だ」
「……なあ、死ってどんな能力使うんだ?」
「そうだな、とにかく相手の命を滅ぼす魔法みたいなのを使う。例えば、窒息死とかだな」
「それじゃあ、やる前にやられるってことだよな?」
「いや、そうとも限らない。生の力、つまり相反する能力なら中和させることができる。だが、俺は天の王。あまり生の力は使えん」
くそったれが。俺のギルドには、生の力を持った奴なんて一人もいない。早くも万事休すってわけか……。
「やあやあ皆さん。お邪魔するけどいいかな?」
黒づくめで、顔も見えないくらい大きい帽子とマント。声からして、おそらく男だろう。誰だ? まさか、噂をすればってやつか?
「誰だお前? ここをどこだと思ってやがる」
仲間の誰かが言った。
「ん? どこって、マシューの城だろ?」
「わかってんなら、さっさと出てけ!」
さっきの奴がまた言った。
「ふう、生憎君と茶番なんかするつもりないんだけどね」
「てめ……」
「おめえらはすっこんでろ!!」
俺のこの言葉で周りが音一つしなくなった。
「マシュー、あいつは……」
「ああ、わかってる。お前、死の王だな?」
「おやおや、ばれてんのかい。まあ、仕方ないか。一応名乗っておこう。俺は誇り高き死の王、デス」
「ぷっ、くははははははははは。いや、わりい。あまりにも名前がそのまんますぎてな」
「……いやあ、むかつく野郎だね。本当、殺したくなるよ」
デスは地面を蹴って、俺の方に向かって来た。しかも、スピードが普通じゃない。早すぎて、反応できない。
「ははは、死ねや、くそ野郎」
まずい。本当に殺される。俺はデスに殴られ、後ろの壁にぶつかった。壁はこなごなになっていた。
「ぐはっ」
何だこれ? 血? くそ、俺は血を吐いているのか・・・。
「まだまだあ!!」
当たり前だが、こんな状況で誰一人無反応はありえない。シオーネが割って入った。
「マシューを殺すなら、まずは私たちから殺せ」
バカ野郎、お前じゃ絶対無理だ。ニアとの闘い以降、お前は力をうまく使えていない。
「いいぜ。だが、一つ言わせてくれ。できるだけ楽しませてくれよ、なあ!!」