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悪魔と神の子  作者: Leone
第一章 時のはじまり
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第18話 最強の契約者

 ニア……。うそだろ……、あいつが負けるわけねえ。

 相手は……雷男のレイ。相性はそんなに悪くないはず……。

「く……」

「おやおやおやあ? もうギブアップですか?」

「……」

「ったく、弱すぎてつまんねえな。もっと骨のあるやついねえのかよ」

 やろう!! よくも俺の仲間を!! 絶対許さねえ!!

 だが、俺がロットを無視して奴を殺す前に、ルシファーが動いた。

「貴様……ただではすまさんぞ!」

「へえ、おもしろい。てめえの奥義、俺に試してみろ」

「無論……そのつもりだ」

 ルシファーの雰囲気が一変した。が、ルシファーがレイを攻撃する前に、新たに何者かが現れたのだった。どこかで会ったことあるような……。銀髪に青の瞳といった見た目だった。

「てめえら、俺の獲物に何勝手に手え出してやがる。さっさと消えねえと、ぶっ殺すぞ!!!」

「はあ? 誰だてめえはよお」

 レイが電撃を掌から放った。本当なら、あいつはビリビリとしびれて、倒れるはずだった。でも、本当はあいつは無傷で逆に、レイが傷を負っていた。

 どうやら、あいつはレイの電撃を撥ね返したみたいだった。

「な……、どういうことだ!? 俺の電撃が効かないのか?」

「俺にはなあ、攻撃どころか触れることもできねえ能力があるんだぜ。さてここで問題です。俺の能力はいったい何でしょうか?」

「ふざけるな! てめえ何者なんだ?」

「何者……か。そうだなあ、契約者、とでも言っておこうか」

「うそだ。契約者の分際でこんな能力……あるはずが……」

「あるからここにいるわけだが……」

 何なんだこいつは!? ありえねえ、こんな能力……。どんな能力かわからないが、触れることもできないだと!? こんなやつ、いったいどうやったら倒せるんだ?

「あ、そうそう。一応忠告しとくわ。俺に触れたらてめえらの体はドカン、だ」

「ふざけんじゃねえぞ!! この三下があ!!」

「くっ……くはははははは。俺に向かって三下だあ? 笑わせんじゃねえよ。俺は悪魔の中でも契約者の中でも最強の存在なんだよ!」

「ならこの俺を殺してみろ!」

 レイが(おそらく)全力で電撃を放った。が、結果は同じ。逆にレイが倒れたのだった。

「レイ!!」

 ロットも含め、敵のギルドの全員があいつを攻撃した。

「はいはい、そんな攻撃、俺の前じゃあ無力なんだよお!!」

 またしても結果は同じだった。

 しかも、誰ひとり生き残ることができなかったのだ。

「うそ……だろ?」

 この場にいる全員が誰一人例外なく混乱していた。

「やっぱり、てめえらじゃあ俺には勝てねえか……。情けねえなあ、おい。団体で攻撃しておきながら、傷一つつけられねえとはな」

 ありえねえ!!

「さて、掃除も終わったことだし、マシュー、俺のこと覚えてるよな?」

「え……?いや、誰だっけ?」

「はあ? ふざけるんじゃねえ。俺が誰か言ってみろ」

「いや、本当に記憶にないんだけど……」

「ちっ、シオンって言えばわかるのかよ?」

「え? お前、シオンなのか?」

「そうだよ。何だよ、そんな簡単に忘れられるやつだったのか? 俺はよお」

「……すまん。て言うかお前、アリエルとかと」

「ああ、そうだ」

 俺が言い終わる前にシオンが遮った。

「俺は、あのときからお前の周りで起きていることを知った」

 あのとき? いつだ?

「そう、サーシャに出会ってからなあ!! 今回はあいさつだけで帰ってやるが、次からは……」

「……いいだろう」

「じゃあな。あ、そうそう俺の能力言ってなかったよな」

「別に言わなくていいぜ」

「いや、あえて教えておいてやる。俺の能力は物体を操ること。まあ、それなりに少しだけ制限があるがな」

「何だと!? 操るってことはさっきのあれは全部……」

「そうだ、俺が攻撃の向きを全て逆にしただけのこと」

「…………」

「いいぜ、そういう絶望に染まった顔ってのはよお。すっげえ好きなんだよなあ」

「く……」

「んじゃ、今度こそ本当にさよならだ。カス!!!」

 最後に振り向いて言い放ったその言葉は、深く俺の心に刻まれたのだった。

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