第17話 王の力
ルシファーVSディール。
俺はこの闘いは一瞬で決着がつくだろうと思っていた。なぜなら、ルシファーが天の王だからだ。だが、ルシファーが単に手加減をしているのかもしれないが、中々決着がつかなかった。
「なあ、ディール。お前の能力、そろそろ使ったらどうだ?」
「あんたには、使ってられないんでな」
「どういう意味だ?」
「あんたのとこのマスター、あれはあいつの兄貴なんだろ?」
「知っているのか、フィアレスのことを」
「当たり前だ。敵のことを調べずに、戦争なんか仕掛けられるか! マスターともなれば尚更だ」
「確かにな……」
「だが、あんたらには調べる余裕などない。故に俺らの方が圧倒的に有利だ」
「……だから?」
「あんたらに勝ち目はねえって言ってんだよ」
「たとえ貴様らが有利だろうが、圧倒的な力の差は埋められん」
「……そういうの、俺は好きじゃねえんだけどな!!」
ディールは槍でルシファーを攻撃するが、やはりかすりもしなかった。
「ちっ……」
「勿体ぶってないで使えよ、能力」
「……しかたねえ、あんまり時間かけんの好きじゃねえから、一撃で殺す!」
「……こい!!」
ディールの体から、黒いオーラが出た。言葉では言い表せないぐらい、悪のオーラだった。こんなやつが手下だとは……。
「ディサルス!」
どうやら、技の名前のようだ。黒いオーラが槍を包み込む。
「では、こちらも奥義を少しだけ使うとしよう」
え? 奥義? そんなもの知らんぞ、ルシファー。一応ロットと闘いながら見たり聞いたりしているから、聞き間違いかもしれないが、おそらくそうではないだろう。
「何年ぶりだろうか……」
ルシファーがいつもよりかなり多い力を出していた。
そして、驚くべきことが起こった。何と、ルシファーの剣が槍になっていたのだ。
それも生半可な大きさではなかった。
さらに、もう一つ驚いたことが起きた。ディールのオーラが消えていたのだ。しかも、下級の悪魔みたいに力が弱くなっていた。
「ビビりすぎだ、ディール」
「うっ……」
「まあ、約束は果たさんとな」
「くっそおおおおおおおおおおおおお!!!」
まさに弱肉強食。負けは決まっていた。
だが、ディールは最後まであきらめなかった。
「さらばだ、ディール」
ルシファーが槍で爆発を引き起こした。この一撃でディールは倒れた。一撃で殺すと言ったディールが……。
とりあえず、ルシファーは勝った。
よし、この調子で……そう思った矢先だった。三人のうち、誰かがやられたのだった。