第16話 ギルドVSギルド
アリエルから言伝を受けて三ヶ月が経った。
ニアはシオーネが一応勝っていたから、今は仲間になっている。
あれからいろんなことがあった。ニアの他にも、たくさんの仲間ができていた。もう、組ではなくギルドと言っても過言ではないぐらいだ。
「マシュー、次はだれを仲間にするの?」
「うーん、まだ考えてないな」
ルシファーに聞いても、流石にもう知っているのはいないようだ。この数だから仕方ないが……。
「だったら、ギルドごと仲間にしてみようか」
「それは無理だと思うが」
ルシファーにあっさり否定された。
「なぜそう思う?」
「簡単なことだ。このギルドは数はいても実力のある者が少ない。大抵のギルドは、全員が主役ぐらいの力を持っている」
「俺はこのギルドと一緒ぐらいのが、どこかにあると思うけどな……」
「まあ、それは簡単には見つからんだろう。あったとしても、他の奴らが潰してしまうからな」
ということは、ここは危険ということなのだろうか。今までは何とかなってはいたが、いつか潰されてしまうのか……。そう思っていた。
そのとき、近くで爆発音が聞こえてきた。
「ここがマシューのギルドか……。噂どおりボロギルドだな」
どうやら考えていたことが本当になってしまったようだ。
「ボロギルドとは聞き捨てならんな」
ルシファーが敵ギルドの前に出た。
「天の王か……。だが、大魔王が一人いたぐらいでは到底かなわんぞ」
「その言葉も聞き捨てならねえな。てめえがギルドマスターか?」
俺もルシファーの隣に並んだ。つづいて、シオーネ、ロドス、ニアも来た。
「そうだ。俺がギルドマスターのロットだ」
「俺たちのギルドを潰しに来たのか?」
「まあそうだが、おとなしく我がギルドに加わるなら別の話だがな」
「……虫唾が走るぜ」
「そうかい、君と俺はどうやら相容れないようだ」
他の仲間も全員出てきたところで、ギルド対ギルドの戦が始まった。
俺はロットと闘うことになった。
シオーネは赤髪の女と闘っていた。
「私の名はシオーネ。あんたは?」
「どうせ死ぬから意味ないと思うけど……」
「そう? 私はどちらにしろ知っときたいんだけど」
「……ま、そういう流儀なら一応教えとく。名はアリナ」
ルシファーの相手は黒髪の男。
「俺の名はディール。あんたは?」
「ルシファーだ」
「天の王ってさ、どんな力使うんだ?」
「こんな力さ」
ルシファーが手を一振りすると、ニアの力のような突風がディールを吹き飛ばした。
「ふう、風ねえ」
「他にもいろんな力が使えるぞ」
「万能だな、こりゃ面白くなりそうだ」
ロドスの相手は鎌を持った背丈の高い男。
「…………」
「俺はロドス。名は何だ?」
「……名は……ない」
すごく暗い奴だ。だが、侮りは禁物。
「だが、貴様は……殺す」
「へえ、面白い。大魔王でも何でもない一般の悪魔だが、簡単にはやられんぞ」
ニアの相手は金髪の男。
「お前は……、雷の使い手か」
「ほう、君は相手の能力をみやぶるのが得意なのかな?」
「……」
「まあいい。どちらにしろ勝つのは俺だ」
「……」
「一応名乗っておこう。俺の名はレイ」
「……ニア」
果たしてこの戦争、どちらのギルドが勝利の旗を掲げられるのだろうか。