表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔と神の子  作者: Leone
第一章 時のはじまり
15/79

第15話 王の言葉

 マシュー対ニア。それはどちらが勝ってもおかしくない勝負。

「風の力はかたいものをも切り裂く……か」

「私の風で切れないものはない」

「そうかい。だとしても、当たらなければ意味を持たない」

 このような言い合いをしながら闘いは続いていた。そのとき、俺の背後から気配がした。

 シオーネだった。

「お前、何でここにいる?」

「どいて、そいつはあたしがやる」

「今のお前だと危ないから俺がやる」

 シオーネの目はほとんど意識がないような虚ろな目をしていた。

「とりあえずさがってろ」

「そのセリフ、そのまま返そう」

 シオーネが一歩、また一歩と前に進みだした。

「おい、俺の言うことを聞け!」

「私の方が強いから……。大丈夫」

 シオーネは意識がなさそうに見えても、恐ろしいぐらいの量の力を放っていた。

「風の私には絶対勝てないよ」

「……どうかな」

 シオーネの手が凍り始め、鋭い爪のようになった。

「一瞬で終わらせる」

 何が起きたのか、理解できなかった。だが、少しずつ時間が経つにつれて、分かってきた。ニアが凍りついて動けなくなっていたのだ。それと、シオーネの背中にも巨大な氷の翼がついていた。

「な……!!」

 言葉も出ない。本当に呆れかえる力だ。少しシオーネをあまく見ていたようだ。確かにシオーネの方が強いのかもしれない。

「どう? 動けないでしょ」

「何で? いつの間に……」

「すげえな、シオーネ。びっくりしたよ、こんなに強かったなんて……」

 シオーネは笑っていた。どうやら、少しは意識があるようだ。だが、そんな安心も一瞬だった。

 シオーネの後ろから、何者かが襲って来たのだ。

 シオーネはたったの一撃で気絶させられた。不意打ちとはいえ、あまりにも力の差がないと一撃では無理だ。おそらくこいつは……。

「私は誇り高き水の王、アリエル」

 やはり、十の大魔王の一人。青い髪を長くのばした女だった。

「……俺に何か用か?」

「さがれ、マシュー。ここはこのロドスに」

 ロドスがすぐにやってきた。だが、俺はシオーネを攻撃されたので、引き下がらなかった。

「ロドス、少し待ってくれ」

「……わかった」

 どうやら俺の思いが伝わったようだ。

「アリエルと言ったか……。お前、俺に何の用だ?」

「一つ言伝を頼まれてねえ。シオンに」

「何っ!!」

「やっぱり知り合いか……。まあ、そんなことはどうでもいい。ちゃんと役目を果たせばそれで報酬は貰えるからねえ」

 報酬だと、シオンは十の大魔王を金で雇っているのか?いや、それよりも……。

「言伝ってのは何だ?」

「近いうちに、そちらのお仲間全員殺す、だとさ」

 シオン……。一体何を……。

「ま、用はそれだけ。またどこかで会うだろう」

 そう言って、アリエルは去って行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ