第13話 仲間
俺たち三人は、ニアという悪魔のところへ向かっていた。
「なあ、シオーネとロドス。一つお願いがあるのだが、聞いてくれるか?」
「何?」
とシオーネが言った。ロドスは、
「内容によっては逆らうこともあるとだけ言っておこう」
「そうか……。実はな、そのニアという悪魔と闘うとき、手を出さないでほしいんだ」
「何をばかなことを。あいつは風を操る。危険すぎるぞ」
「そうだよ、マシュー。弱点がわからない以上は、協力しないと」
だが、俺はやつらを倒すために強くなりたかった。だから、一人で闘うと言ったのだ。しかし、こいつらの意見も一理ある。
「まあ、出会ってみて相手の力量があまりにも小さいならかまわんが、まずそれはないだろう。それに、もしそこまで弱いなら仲間にする理由がない」
「わかった」
「でも、私たち三人なら心配ないと思うよ」
「そうだな」
俺は少し勘違いしていたかもしれない。やつらを倒すために、無理に一人でやる必要はないと思った。信用できる仲間がいるのだから……。
やつらは俺の組で、絶対倒す。そう俺は誓った。
ただ、やはりシオンのことだけは気になっていた。もし、やつらの頭ならシオンはやつらより強いことが考えられる。俺みたいなやつでない限りは……。
そろそろニアがいるところへ着くはずだ。そう思った瞬間、背筋に寒気が走った。
「何だ、この感じは!?」
「おそらく、これがニアの力だ。思っていた以上の力だな。この俺でも勝てるかわからん」
ロドスが勝てないだと!! 十の大魔王でもない一般の悪魔に……。
「私にはそうは思えないけどね……」
シオーネ!? なぜ、シオーネがロドスが倒せない相手に対して、そんなことを言える!? 現時点では俺にはシオーネが勝つ見込みは全くないと思うのだが……。
「シオーネ、あいつに勝てるのか?」
「たぶん……」
「俺には無茶苦茶強い悪魔にしか見えんのだが」
「そう……」
何か、シオーネの様子が変になってきた。目も虚ろな状態だ。
「大丈夫か?」
「うん」
俺はおそらくあのニアという悪魔の強さのせいで、少し気持ちが不安定なのだと思った。
とりあえず、俺があいつを倒して仲間にすればいい。
俺一人で……。
「行くぞ、ロドス」
「シオーネはどうする?」
「今はここに放っておこう。たぶんほかに敵もいないし、大丈夫だろう」
そう言って、俺達二人はニアとの闘いに挑んだ。恐ろしい悪魔が近くに潜んでいたのにも関わらず……。