第12話 選ばれし者
サーシャ達との闘いから一ヶ月が過ぎた。シオーネはどうやら命に問題はないようだったので、安心した。
ここ最近はやつらの情報が見つかっていない。だが、組は中々大きくなっていた。一つ気になっているのが、ルシファーのことだった。もし、天の王ならなぜ俺の下にいる?どうしてもそれだけは頭から離れない。
「今日も手下集めをするの? マシュー」
「ああ。早くやつらに対抗できないといけないからな。シオーネ、お前何かいい情報はないか?」
「私は知らないけど、ルシファーなら知ってるかも」
「あいつか……」
「……どうしたの? マシュー」
「心配は無用だ」
「……そう……」
「ルシファー、話がある」
「ああ」
とりあえず、誰にも聞かれないように誰もいない部屋へ行った。
「単刀直入に聞く。お前は天の王か?」
「ああ、そうだ。俺は天の王、ルシファーだ。だからどうしたというのだ?」
「お前は何で俺の手下なんだ?」
「ずばり言うと、俺は王でありながらの一匹狼だ。俺に手下はいない。だから、選ばれし者のお前を選んだ」
「選ばれし者?」
「お前の親のことはただ、神と悪魔としか言ってなかったな。まあ、いずれは知ることになるかもしれないが、あえて今は言わないでおく」
「親が特別なのか?」
「…………」
「本当に何も言わないのか……」
「ああ、すまないな。俺も聞いただけではっきりとは言えないからな」
「わかった。じゃあ、お前が天の王だってことを知ってるやつは俺の仲間にいるのか?」
「一人だけ……。ロドスが知っている」
「そうだろうと思ったよ。ロドスが、か……。それじゃあ、シオーネとの会話を聞いていたか?」
「ああ、知ってるよ。何人か、仲間にできる可能性があるやつがいる」
「教えてくれ、そいつらの情報を」
「まず、一人教えとく。そいつは、風の悪魔、ニア。能力は体を風のようにすることで、物理的な攻撃は一切受け付けない。弱点は知らないから自分で探るしかない。まあ、こいつは一匹狼だから、他の敵を気にすることなく闘える。見た目は、緑の髪に黄色の目の女だ。場所は……」
アザードの地図を広げて、ルシファーが教えてくれた。
「決して無茶はしないように」
「ああ、わかってる。って、お前は来ないのか?」
「俺は仕事が残ってる。大丈夫だ、ロドスがいるからな」
「私もいるでしょ!」
シオーネが少し怒ったみたいだ。
「ああ、そうだな」
「まあ、そういうことなら、仕方がないか。じゃあ、行ってくる。ルシファー」
「ああ」
こうしてマシュー、シオーネ、ロドスはニアという悪魔のもとへ向かった。