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悪魔と神の子  作者: Leone
第一章 時のはじまり
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第10話 再び……

 謎の契約者。俺は苦労を重ねてやっとつかめた。絶対に逃しはしないと誓いながら、契約者のところへ向かっていた。

「マシュー、あとどのくらいでたどり着くかな?」

「さあな、はっきりとは言えないがもう少しかかるかもしれないな」

「そう。あのさ、なんでマシューは契約者を仲間にしてみたいなんてことを言ったの?」

「そりゃあ、強い奴が敵にいるより仲間のほうがいいだろ。まあ、強い奴と闘ってはみたいけどな」

「でも、今回は絶対に闘わないでね。勝てそうにないから」

「それって、俺を侮辱してるのか?」

「違う、そう言う意味じゃなくて、心配してるだけ」

「……。まあ、俺もお前の立場なら同じこと言うかもな」

「マシュー……」

???「おやおや、感動の場面だねえ、これは」

 突然、上の方から声がした。しかも、この声は聞いたことがある。まさかと思いつつ、顔を上にあげるとあいつがいた。悪魔のバンパイア、サーシャ。

「お久しぶり、マシュー。また、ぼこぼこにしてあげようか?」

「くそっ、何でここにいるんだ」

 最悪だ。このタイミングでこんなヤバい奴と出会ってしまうなんて。俺の目的は契約者なのに……。

「マシュー、この人は?」

「悪魔のバンパイアだ。この前闘ったときはあり得ないほど強かった。名はサーシャ」

「ついでに言っておくけど、私はバンパイアの中では間違いなくトップ5の中に含まれる」

「へえ、初耳だな」

「知ったところで意味はないぞ、マシュー」

「用は何だ? 吸血鬼さんよ」

「たまたま会っただけだ。用はないが、暇だから遊んでもいいぞ」

「生憎だが、こっちは暇じゃないんでね。失礼させてもらえるかな?」

「つれないねえ、私に他の奴の血でも吸えってのかい? 例えば、契約者とか」

「何っ!! お前あいつに勝てるのか?」

「冗談だよ、私が勝ったら天と地がひっくり返るよ。それぐらいあいつは強いからね」

「知り合いか?」

「いいや、見たことはあるから、だいたいの力量は知ってる」

 信じられない。サーシャが全く勝てる自身がないとは……。俺では言うまでもなくあの世行きだな。そう思った。

「まさか、暇じゃないってのは、契約者のことかい?」

「あんたには関係ねえ」

「そんなことはない。もし、契約者なら私がここで全力で止めるつもりだからな」

「なぜだ?」

「もし、死んだら私の楽しみが一つ消えることになる。それが理由だ」

「俺と闘うのが楽しいってのか?」

「そうだ、お前はまだ未熟だが、故に先があるというものだ」

「まあ、それも一理あるな」

「それじゃあ、私と殺し合ってくれるのかな?」

「いいだろう、こいよ」

 俺は炎を全開にした。が、サーシャは全く動かない。

「どうした? 私があまりにも無防備だから攻撃できないのか?」

「……ふん、いい度胸だ」

 俺はサーシャに剣を向け、突っ込んだ。だが、やはりサーシャはただものではなかった。なんと、俺の剣をかわした後すぐに、肩を掴まれ、投げられたのだった。

「くそっ、俺はお前なんかに負けねえ」

「なら、もう一度来い」

 俺は次はまた突っ込んだが、そこでフェイントをかけた。さすがにサーシャでもこれはかわせなかった。軽い傷だが、腕に切り傷を付けた。

「……」

「どうだ? 参ったとか言うのか?」

「……よかろう。実を言うと、この姿は私の本当の姿ではない。見たものは大抵死ぬが、まあお前なら楽しませてくれると信じよう」

「おい、まだ上があるってのかよ」

「そんな……」

 シオーネも驚きを隠せないでいた。そして、サーシャが悪魔の真の姿に変身した。美しすぎるくらいの輝かしい赤色の翼、赤色の尻尾、そして鋭い爪。俺は確信した。サーシャは契約者と互角に近いぐらいの力を持っていると。ひょっとすると十の大魔王の一人かもしれない。

 そんなことを思っていると、シオーネが俺の腕を掴んでこう言った。

「逃げなきゃ……」

 さすがにこの状況では闘いたいなどとは言えなかった。それほどサーシャは化け物だったからだ。

「逃がさないさ、あんたたちが瀕死になるまではね」

 サーシャは地面を強く蹴って、猛スピードで突っ込んできた。あまりの速さに俺たちは全くついていけなかった。

 俺は顔に蹴りをくらって気を失ってしまった。

 ……どれくらい経っただろうか。全くわからなかったが、一つだけわかることがあった。それは……。

「シ……オー……ネ」

 シオーネがサーシャに殺されそうになっていた。もう、シオーネは意識がないみたいだった。俺は再び意識がとんだ。だが、俺の体は動いているみたいだった。

「グルルルルオオオァァァァ!!」

「何!? マシュー、それは何だ」

「オオオオオオォォォォ!!」

「言葉が通じんのか。仕方ない。このままでは私が危ないんでな、死んでもらうとす」

 最後までは言えなかったみたいだ。俺がサーシャを蹴り飛ばしたからだ。

 そして、俺はシオーネを助けて逃げたかったが、全く体が言うことをきかない。しかも、俺はあのときと同じように悪魔の真の姿になった。

「ほう、それが貴様の真の姿か。それにしても全く気配が感じられないな」

「グルルルルルル……」

「まあいい。その力なら私も力を久しぶりに試せる」

 こうして、俺とサーシャの闘いが始まった。だが、このとき別の悪魔に狙われていたことを、俺はまだ知らなかった。たぶんサーシャも……。

???「まだまだ足りんな力が」

???「シュド様、まだ依頼が残ってますが……」

シュド「いいじゃないか、少し見物していこう。悪魔と神の血縁者、どれくらい強いのか見ものだな」

???「……」

 近いうちにシュドという悪魔に遭ってしまったことで俺の人生が一転してしまうなんて……。このときは知る由もなかった。

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