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一章 一話 今日から親友な (秀一視点)

----やっと着いた。


ここは、星ヶ丘高校。今日から俺が通う高校だ。


初めて来た……なんてわけないけど。受験するとき来たし。

しかし、改めてここの高校に通えたことがなにか奇跡のように思えてきた。ここの高校は頭が良く、全国でも有数の進学校だからだ。



ま、このオレが落ちるわけないか。



なんて納得しながらオレはクラス発表している方へと向かった。



星ヶ丘高校には、クラス替えというものは一切存在しないらしい。

……ていうのは嘘で。

テストの度に順位順でクラスが入れ替わるらしい。もちろん、上の順位から下の順位まできっちりと。

そして、今から発表されるクラスもそうだ。受験のテストの結果が一組から順にそのままクラスへといく。




そのとき




「やった、オレ一組だ!」


と、言う何とも自慢げな声が聞こえた。


どこだよ、大声で自慢する奴は。

……しかも、この声どっかで……?


オレは無意識の内にその声の聞こえた方を向いていた。




あっ!!




「お前!塾にいた奴じゃん!」


コイツ、高校の塾に行ったら、たいしたイケメンでもないくせにやたらと女子に話しかけていた奴だった。

バカだなぁ、なんて思いながら冷ややかな目を向けていたっけ。

でも、そんな奴が今、この星ヶ丘高校に通おうとしているなんて。しかも一組に。なんか無茶苦茶腹が立つ。


「それが?」



……コイツ!!



「たいしたイケメンでもないくせにやたらと女子に話しかけやがって。環境権の侵害なんですけど」


オレはコイツの反応にイライラが最高潮まで達し思ってたことを全部吐き出してしまった。

まぁ、後悔はしてないけど。


「はぁ?妬みですか?悔しかったら自分でも話しかけてみれば?」


なんだコイツ?

マジでウザいんですけど。





そしてこの名前も知らないバカと言い合いをしてたら、さすがに先生も誰かに呼ばれたらしくオレ達を止めに来た。


「お前ら!初日から喧嘩は止めろ!」


「やばっ、逃げるぞ!」


コイツはいきなりオレの腕を引いて逃げ始めた。

なんだよ、捕まったらオレも道連れじゃないか……。しかし、コイツの足は速かった。まぁ、それに着いて来れたオレも十分速いと思うが。




しばらく走って誰もいないところへ着く。今は皆クラス発表のところへいるか、教室にいるかだろうから誰もいないところなんてたくさんあるけど。

しかし、ここしばらく受験勉強や何やらで運動不足のせいか、少し息切れしてしまった。


「…………なぁ、お前なんて言うの?」


しばらくの沈黙の後、オレはコイツに名前を聞いた。

理由?理由は……


「は?……渡辺 裕也だけど」


「ありがと、渡辺」


お礼が言いたかったからだ。

何?珍しいだって?お前オレのこと知らないくせによく言えるな。


そして、渡辺は驚いた顔をしていた。

だが、やがて笑顔になってこう言った。


「お前の名前は?」


「ああ、オレ?オレの名前は藤村 秀一だ」


「よろしくな、秀」


「はぁ!?なんで急に友達にならんといかんだ。意味不なんですけど。しかも何?“秀”って?オレの名前は秀一だ!!」


「そんなこと言って……ホントは嬉しいくせに」


「そう。ホントは嬉しい!……なんて言うと思うか。バーカ!!」




また、さっきの状態に戻ったと思う方もいるかもしれない。

だが、さっきと明らかに違うのは本気ではなく笑顔で会話していることだ。これがオレと渡辺が友達にならずに親友になった日だった。










----だが、現実というものはそううまくいくわけでもなく……




「お前ら!!何やっとるんだ!」




----そう、普通にクラス発表のところにもどったら先生が待ち伏せしていたのか、またまた怒鳴られた。


先生の存在忘れてた。

ヤバイな、なにか考えないと。


「いや~、ちょっと自己紹介して仲良くなっただけですよ。もう喧嘩はしませんって」


オレは先生にそう言い、渡辺からもなにか言うよう目で合図した。


「本当ですよ。実はオレ達、こんなに仲良いんですよ」


そう言って渡辺はオレの手をつないできた。




……って




「キモ!何勝手に人の手つないでんの?

言っとくけどオレはホモじゃないから!勘違いしないでくれる?変態さん」



「はぁ!?そっちが何か言えって合図してきたんだろ?仲良く見せるためにこれくらい我慢しろよ!」



と、またまた言い合いが始まってしまった。

ホントに仲良くなったつもりだったのになぁ…。

まあ、オレが悪いとはこれっぽっちも思ってないけど。向こうが手をつないでくるから悪いんだ。




「お前ら!!いい加減にしろ!」




……!!



突然聞こえた先生の声にオレ達はびっくりしてしまった。

というか、先生の存在忘れてた。これじゃあ、せっかくの苦労が水の泡じゃないか。




「……まあ、今日のところは許してやる。入学式があるしな。とりあえず、一緒に教室に行くぞ」




よ…よかった~。初日から怒られたらたまったもんじゃないよね。うんうん。




って……一緒に教室!?オレ、まだ自分の教室知らないんだけど。


そのことを先生に聞くと




「お前ら二人は一組だ。そして俺が一組の担任だ。着いて来い、一組まで案内してやる」




(え!?アイツが担任?めっちゃ嫌なんだけど)


オレはヒソヒソ声で渡辺に話しかけた。すると渡辺も同感だったようで…

って同感じゃないとおかしいか。


(オレもやだよ。でも、高校はあんまり関係ないって言うじゃん。それより、お前と同じクラスの方がいやなんですけど)


(そんなんオレが聞きたいくらいだし。なんでお前みたいな変態が一組なんかにいるの?場違いだ!っつうのに)


(オレは変態じゃねぇ!お前がさっき言ってたホモでもねぇからな!)




「おい、何をしゃべっとるかは知らんが着いたぞ」




先生に言われふりむくと一年一組と書かれた部屋があった。


そして、先生が入ったのでオレ達も入るとそこにはもう皆が座っていて待機している状態だった。

なんか、悪いことしたなぁ……。



「ちょっとここのアホ二人組を捕まえるのに遅くなってしまった。そして俺がこのクラスの担任だ。よろしく」



すると皆拍手をした。さすが、全国で有数な進学校だけあって良い人たちだなぁ。

なんて感心してると



「お前らの席は一番後ろの三人席の開いてるとこ、と言いたいとこだが、それじゃお前らが隣通しになってしまうので……。おい!米津そこの三人席の真ん中に座ってくれないか?」



そう、一番後ろの窓際の席には三人席と呼ばれる三人が隣になれる席があった。そのまんまだが。

そこに米津と呼ばれた人が、三人席の一番窓際に座っていてそれ以外の三人席は開いており、そこに座るとオレ達が隣通しになってしまうため米津を真ん中に置いた、というわけだ。



「すまんな米津。ホントは順位順なんだけどな。こいつらは何しでかすか分からんから」


「別にいいですよ」


米津は優しい声で言った。

さすが、良い人だ。



って



(この席って順位順なの?)


(ああ、そうだ。一番後ろの窓際から順番に……ってオレ達!!)


(テストで二位か三位だったってこと!?)


オレは渡辺の後に続けてそう言った。

ってことはオレ天才じゃないか。さすが。



「お前らも座れ。一応入学式までまだ時間はあるからな」


オレ達は一番後ろの席に座った。




「しばらく自習な。オレは入学式の準備があるから」


そう言うと先生は教室から出て行った。




ふと、隣を見るとそこには多分席の位置からすると一位であろう人が座っていた。




「なんだお前!?……それ染めてんの?」




オレは気付けば思ったことはそのまま口に出していた。


そう、そいつは髪の色が見るからに金髪なのだ。

いや……茶髪とも言えるか。


「え……これ?」


そいつは自分の髪の毛を指しながらこっちを向いた。また、そいつは目の色が緑色だったのだ。


「お前、宇宙人かよ。目の色が緑なんて」


オレは冗談でそんなことを言った。

すると、


「お前コイツがハーフってことも分からないのかよ。バカだな」


渡辺が口出ししてきやがった。

お前は、冗談も通じない奴かよ。


「ハーフってことくらい分かる「クォーターだけど」




は!?




「お前、どんだけおじいちゃんの遺伝子もらってんだよ!もらいすぎだろ!」



というか、両方意見が違っていてダサい。

渡辺と同じ間違いするなんて。最悪だ。




「オレも同感。おじいちゃんからもらいす「おばあちゃんだけど」




「あーあ、誰だよ。おじいちゃんとか言った奴は?」


「お前だよ」


即答された。腹立つなぁ。

自分だっておじいちゃんで同感とか言ってたくせに。



「名前は何ていうの?」


渡辺が聞いた。


「どうせ、マイケルとか英語の名前なんだろ」


そう、こういうやつは大体英語っぽい名前でしかもカタカナなのだ。

しかも、結構カッコいい……



「そうそう、こういうやつはぜった「全部漢字で米津 光だけど」



まただ。また、はずれた。

なんでこう…ことごとく予想がはずれるんだ。これは絶対……



「渡辺のせいだ!!」



「はぁ!?全部お前が予想してただろ?」


「はぁ!?明らかにお前だろ!そんなことも覚えてないなんてお前本物のバカだろ!」


「そういう間違ったことを言うお前こそが本物のバカでアホだ!」




コイツ!!




オレに一番似合わない言葉“バカ”にさらに“アホ”を追加しやがった。



「あの~どっちも予想立ててたと思うんですけど」


「「そんなことはどうでもいい!!」」


うわ……

こんなやつとハモってしまった。はぁ…




「なにが嬉しくてこんなやつとハモらないといけなんだよ!」


「それはこっちのセ「さっきからうるさい!」



そう言ったのは隣の米津 光。

びっくりするほど大きい声を出したのでザワザワしていた教室も静まり返った。



「さっきからバカとかアホとか言い合ってるけど、俺はどっちもバカでアホだと思う」




「「なにぃ~??」」



コイツ、おとなしくて優しそうだと思ってたけど意外と言うなぁ。

なんでこの学校にはこんな奴が多いんだ。実は有数の進学校って荒れてるのか?

こんな学校だったのか?


「お前、ちょっと頭いいからってバカとか言ってんじゃねぇ!実は染めてんだろ、この不良!!」


「うるさいから静かにしてもらえません?って口で言っても分からないほどバカだからこうする」


するとコイツはガムテープをとりだし、オレ達の口をふさごうとした。




って……どっからだしてきたんだ、そんなもん。マジで怖ぇぞ、お前。

オレは必死に逃げ出した。それは同じで渡辺も一緒に逃げ出した。


そんなこんなでもう教室中は大騒ぎだった。

走り回っているので、椅子や机があちこちに動いたり倒れたり。





ガラッ




そんな中、先生が入ってきた。何とも悪いタイミングだろう。KYじゃないだろうか。





「何やっとるんだ!お前ら!!」




来ました、お決まりの怒鳴り声。

今日初めて会ったのにこれで何度目だろう。


とりあえず、教室中の動作が止まり、ガムテープを張られることは避けられたようだ。



「……まあ、とりあえず入学式だ、並べ」



先生は全ての状況を察知したのかため息をつきながらそう言った。


オレはこのときとてもほっとしたのだ。ほっと……。









--------かったるい入学式も終わり、HRも終わりそうになり、このまま本当に怒られなくて済むかもとわずかな期待を持ち始めたときだった。






「後ろの三人席トリオ、HR後、生徒指導室に来い」


わずかな希望が大いなる絶望へと消された瞬間だった。

それでもオレは諦めなかった。いや、正確にはオレ達か。



(どうする?終わったらダッシュで帰るか)


最初に提案したのはオレ。


(ああ、そうしよう。挨拶したら即ダッシュだ)


次に言ったのは渡辺だが、問題は米津 光だ。コイツは何考えてるかさっぱりだ。

最も、コイツが同意しなくてもオレは逃げるつもりだが。


(さすがに初日から怒られるのもな……俺も逃げる)


何かとてつもなく以外な意見が出てきたんですけど。

まあいい。皆の目的はただ一つ。




(((早く、安全に家に帰る)))




皆が帰りの挨拶を言っている間にひそかにこれを言い、オレ達は急いでカバンを持って走り出した。




「じゃあ、明日会いましょう。先生」



オレが教室を出るときそう言って出て行った。


先生はもちろん追いかけてきたが、高校生の足に勝てるわけもなくあっという間に逃げ切った。




駅前まで逃げてきた後、オレ達はこう言った。


「「「今日からオレ達親友な」」」



と。

どうも!ココアです。

読んでくださり本当にありがとうございます。




え!?



どうなったのかって?

そりゃこの三人は次の日しかられました。

初日からあれだけはしゃいでいればね……当然なんですよ。


ですが、まだまだこれはほんの序の口。

楽しめるかどうかは分かりませんが、きっとこれからはもっと酷くなります。


それではまた次回にご期待ください。

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