序章 こんな日常です(光視点)
「おい。いい加減オレのカセット返せ」
「ああ。あれなら売った」
「はぁ!?お前人のもん何勝手に売ってんの?お前バカ?」
――朝。
いつものように教室に入ると喧嘩が繰り広げられている。
俺はため息をつきながらもその二人の方に向かっていった。
何故かって?
それは俺の席がその二人の間にあるからだ。
理由はそれともう一つ。
「おいおい、聞けよ米津。コイツ、オレのカセット売りやがった」
そう言って来たのは渡辺裕也こと渡辺。
そして、顔には笑みを浮かべている。
――五分後。
「おい渡辺、今日提出のプリントどこにやった?」
さっきの二人のうちのもう一人。
藤村 秀一だ。
「知らねぇよ。どうせ持ってきてないくせに言うな」
と、言いながらも渡辺と俺が持っているのはビリビリに破いたプリントだった。
「あっ、お前らそれっ!!」
残念。
藤村が気付いたときにはもう手遅れだった。
そう、俺と渡辺は組んでいたのだ。
このときだけではあるが。
ガラッ
そのときちょうど先生が教室に入ってきて
「先生。渡辺君と米津君が僕のプリントを破りました」
言われた……
藤村、あとで覚えとけよ。
と、渡辺と一瞬で目の会話を終わらせる。
「お前らは朝から何やっとんだ!」
何でこんなにタイミング悪く来るかな……
と、神様に怒る。
そして、怒られてる俺達を見て笑ってる藤村がすごく腹立つ。
「コイツはオレのゲームのカセット勝手に売りやがったんですよ。そっちの方が悪いですって」
なんとか、藤村も悪いということを認めさせようとしているが、先生は渡辺の話なんかちっとも聞いちゃいやしない。
それは本当なのに。
そうだったら藤村も悪いと思いません?
それどころか、俺達を生徒指導室に連れて行こうとしてる。
「渡辺と米津、連いて来い。あと、藤村もだ。どうせお前も何かしたんだろう」
いいきみだ。
そう思い、渡辺と一瞬目を合わせてから藤村の方へ顔を向けた。
ついでに渡辺は口パクで
“ざまあみろ”
と、声が聞こえなくても本気で気持ちが伝わってくるように言った。
多分、というか絶対本心なのだろう。
俺も同感だが。
そして俺達は、生徒指導室へ連れて行かれた後
「お前らは……いつもいつもいい加減にしろ!」
と、約1時間程度怒られました。
くそぉ、長い!長すぎる!
心の中でそう言いながら目で渡辺と次の作戦について会話していた。
―と、これは、米津光、渡辺裕也、藤村秀一の物語。
これは、とある男子校の物語。
これは、多分どこにでもある日常的な物語。
そしてこれは、友情という名の裏切りの物語。
初めまして、ココアと申す者です。
早速ですが、次はそんな三人の出会いを書いてみたいと思います。
読んでくれた皆さん、駄作ですみません。