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祝言
「お館は…。」
流石の真靡ら衡の重鎮も
「出羽の大殿、誠に申し訳無く…。」
「要らん。申し訳等、聞く耳持たん。」
体をぶるぶる震わす初老の武士は、
出し抜けに持参した砂金の入った袋を、
庭の大岩目掛け投げ付けた。
「えやぁーっ。」
布袋は弾けると共に
ばらばらっと
砕け散った。
戸板を蹴破ると
流石の老武者も
耐え兼ねたらしく
よろめく様にしながら
出羽へ去ってしまった。
思わぬ展開に終始してしまった。
これも戦いに終始し、
人としての道義を
わきまえない処から始る
心の透き間かも知れない。