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帝辺
「兄者。」
「何ごとだ。」
「検非違使の詰め所から阿部殿が…。」
「通せ。」
「源義家殿。」
「はっはっはっはっは。
源太で宜しいぞ、阿部殿」
義家の豪傑笑いに気を良くした使いは
「では源太殿。」
「何かお急ぎか。」
「はっ。
実は今朝頃、
検非違使の詰め所に
日頃出入りの者から
この度の帝の石清水八幡宮御幸に
園城寺の悪僧共が悪さを
仕出かすと云う密告があり申した。」
「ふむ。其れは一大事。
許せぬ事じゃ。義綱聞いたか。」
「確と。」
「儂等は、何時でも帝辺に死す覚悟。」
「ほう。それは心強い。」