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沼柵の小城
真比衡が先陣で落命してから
真衡が支配する領土は清衡、
家衡の物となった。
領土は増えて喜びそうなものだが、
人間、欲深いもので、
満足しないらしい。
滔々家衡は清衡の持ち分が欲しくなったか
清衡の屋敷に攻め寄せたからたまらない。
「むむっ。憎くきは家衡成り。
このままで置くものか。」
この様な際限の無い人間の欲望が怨念を呼び、
地上に修羅場世界を生み出す様です。
何事も、足りるとする心が大事のようです。
思わぬところで所領を増やした家衛だったが、
それでも不満の様だった。
「清衛め、上手いこと騙しおって。」
応徳三年清衛の一族を攻め滅ぼした。
しかし、主人清衛は生きて居た。
この時清衛に助太刀したのが義家だった。
みちのくの冬は寒かった。
「むむっ。良く降りよる。」
「沼柵の小城も中々しぶとうご座る。」
「何のこれしき。」
しかし、攻め手の連合軍にとって
冬場の戦は条件が悪かった。
戦上手の義家も手の施し様が無かった。