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思わぬ勝利
真衡は己を省り見ずに怒った。
「むむっ。出羽の木っ端侍め。」
怒った勢いで
出羽討伐に立ち上がった。
それを知った秀武は
同盟の清衡、家衡を動かすや、
白鳥村に火を放ち、
真衡の館を目指した。
「殿っ。一大事で御座るぞ。」
知らせを受けた真衡の勢を見るや、
清衡、家衡軍は逃げ帰ってしまった。
「この腰抜け共。」
真衡は怒り心頭であった。
真衡は、
その後も出羽領に入り秀武を討とうとした。
秋に入り都より思わぬ人物がやって来た。
源義家が陸奥守として着任して来た。
これは良い機会到来と真衡は
義家を盛んに持て成した。
義家は真衡軍に加勢。
遂に連合軍が勝利を納めた。
清衡等は義家軍に降伏するが、
「お館様。大変でございます。」
「何事じゃ。騒々しい。」
突然の事に義家は不快な顔で叱った。
「殿。お人払いを。」
やや冷静に還った義家は周りの者を遠ざけた。
「…真衡様が突如、
お隠れなさいました。」
「な、何と…。」
数日前に共に戦った仲では無いか。