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行幸

源 義家(みなもと の よしいえ)は、


平安時代後期の武将。


八幡太郎はちまんたろう


の通称でも知られる。


源頼朝、足利尊氏などの祖先に当たる。


新興武士勢力の象徴ともみなされた。


当時の学説では「武士」は


その在地領主をベースとしたものであり、


平将門や藤原秀郷などは「武士」ではなく、


その前段階の「兵」(つわもの)といわれていた。


(ウエブより)


小生歴史には相当暗く、


人様に歴史等々語れる能は有りませんが、


何故か時代物を認める事に興味を覚え居る内に


古の武士社会で、


騒乱に命を賭ける程の武士も、


八幡太郎と畏敬の念を想う


偶々、その資料を手にし、


この人物を少し紐解いて


文章にして見たいと思った次第です。


何しろ素人結え、


何の素養も無く恥じ入るべき雑文なれど、


その辺りはどうぞご容赦あれ。




永保元年十月十四日白河天皇は


石清水八幡宮に行幸をされた。


(行幸とは天皇さまが外出なされる事。)


十月と云っても新暦では九月に当るので、


未だ京の都は暑さの盛りであった。


宵の頃でも蝉時雨れが姦しい季節かも知れない。


街中では人々も、ほんの束の間の泰平に暮して居た。


それでも夜に成ると都のあちこちで、


何かが蠢動していた。


盗賊も居ったであろう。


行幸の数日前に検非違使の屯に密告が有った。


検非違使長官の某が云った。


「何、園城寺の悪僧共が、行幸に悪さをするとな。


こっれは怪しからん。


よし、源太を呼べ。」


「はっ。」


使いの者が慌ただしく源義家、義綱の屯する屋敷に向った。


屋敷と云えば聞こえが良いが、古びた長家に郎党親族が集い、


検非違使の屯とは些か様子が違って居た。




「兄者。」


「何ごとだ。」


「検非違使の詰め所から阿部殿が…。」


「通せ。」


「源義家殿。」


「はっはっはっはっは。


源太で宜しいぞ、阿部殿」


義家の豪傑笑いに気を良くした使いは


「では源太殿。」


「何かお急ぎか。」


「はっ。


実は今朝頃、


検非違使の詰め所に


日頃出入りの者から


この度の帝の石清水八幡宮御幸に


園城寺の悪僧共が悪さを


仕出かすと云う密告があり申した。」


「ふむ。其れは一大事。


許せぬ事じゃ。義綱聞いたか。」


「確と。」


「儂等は、何時でも帝辺に死す覚悟。」


「ほう。それは心強い。」





検非違使の府は御所に近い大きな館で有った。


陽射しの強い午後、


出頭を命じられた義家は弟の義綱他数名、


つわものを従えて参上した。


その頃、


戦闘集団の武士と云う存在は、


世間では確固たるものでは無く


検非違使の府では奇異の目を向けられていた。


検非違使の間でも


「あの無作法なものよ。」


と陰口が囁かれた。


「これはこれは源太殿」


厳つい御面相の義家の笑顔は阿部某の心を和ませた。


「この度、お上にあらせましては


石清水八幡宮に行幸との事。


その守護に当たられたい。」


「ははっ。源義家、


未熟者と云え身命を賭してお仕え申し上げまする。」


「そうか。


さすれば義家殿はお上のお傍を守護するには


無官にては相応しからず、


よって関白様の前駆を申し受けられよ。」


「ははっ。有難き幸せに御座りまする。」


「ご舎弟義綱共々ご奉公為されよ。」


「ははっ。」


義家は打ってかわった


神妙な顔で退出した。






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