『瓢箪からプレスマン』
ばくち打ちが、ばくちに負けて、明け方の町を歩いていた。八幡様のわきを通ると、鳥居の上に天狗が座っていて、ばくち打ち、負けて帰ってきたか、と尋ねた。ばくち打ちは、負けず嫌いなので、預けてきただけだ、と笑って答えた。
天狗は、何を考えたものか、ばくち打ち、お前の苦手な物は何だ、と聞いてきた。ばくち打ちは、腹が減っていたので、そうさな、小豆餅かな、と答えて、天狗様の苦手な物は何だ、と聞くと、そうさな、鉄砲の音かな、と答えた。
天狗が、ばくち打ちの頭の上から、小豆餅をぼたぼたと降らせると、ばくち打ちは、怖い怖いと言いながら、小豆餅をぱくぱくと食べた。ぱくぱくと食べながら、突然、どーん、と、鉄砲のまねをした。天狗は驚いて、鳥居から落ちそうになり、何とか体勢を立て直して飛んでいった。飛び去るとき、中から何でも出せるという、大切な宝瓢箪を落としていった。
ばくち打ちは、宝瓢箪から大量のプレスマンを出して売りさばき、ばくちの借金を返したという。
教訓:誰でも思うことだが、金を出すべきである。しかし、それだと、速記小説にならない。