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ーーー。目を覚ます。ーーー目を覚ます?

何があった?俺はどうなったんだ?混乱できるほどまだ頭は働かず、そんなことを考えようと思ったが俺の目に映る風景が思考を遮る。まず隣に奏と知らない女の子。見たところ怪我はなさそうだ、と考えると同時にようやく記憶が頭の回転に追いつく。俺たちは確実に電車に轢かれたはずだ。接触の記憶はないが、あの距離で線路に飛び込めば接触は避けられない。

混乱する頭を落ち着かせるため、一旦周りを見渡す。やはり目に入るのは2人の女の子のみ。これは分かる。何故かは分からないが、一緒に死んだであろう2人が一緒にいることには納得は可能だ。だが、やはりこの風景は全く意味がわからない。一面に広がる緑。晴れやかな空に、こんな状況じゃなければ気持ちのいい風。目を凝らせば向こうに見える街。見覚えはない。

ここはどこだ?俺は死んだのか、一昔前の人間が同じ状況に陥ったらそう考えるのだろうか。だが、あいにく俺は中学生の頃からラノベを読んで生きてきたのだ。ここが死後の世界であると予想するより早く異世界に来た可能性を考える。奏たちが元の姿をしていることから考えておそらくは異世界転移だろう。死にかけて起きたら知らない野原だなんて王道展開、行き着く先が異世界以外にどこがあるというのか。まあ今の俺にとってはここが死後の世界か異世界かは大した問題じゃない。自分の体を持ち、自分で考えている現状では俺は生きている。自分が生きていると思っているのだから実際の所生きているのかは関係ない。

自分でも随分落ち着いていると思う。落ち着いているフリをして自分を騙しているだけなのかもしれない。しかし、実際こんな状況になったら案外取り乱せないものだ。異世界への事前知識があるからかもしれない。ーーとりあえずまだ寝ている二人を起こすことにする。今後のことはそれから考えるしかない。

奏の名前を呼びながら体を揺らす。結局は異世界に来てもやってることが変わらないことに気づいて少し心が軽くなる。思いの外落ち着けていた理由がようやく分かった。一人じゃなかったからだ。奏がそばにいることがとても嬉しい。本当は奏まで異世界に来てしまったことを悲しむべきなのかもしれない。どんなことが起こるかも分からない世界に大切な人まで巻き込み、連れてきてしまったのだ。だが、そこまで余裕があるほど俺は大層な人間じゃない。

全く起きない奏に業を煮やした俺は『起きろ、奏』と強く呼びかける。その声にようやく奏が反応し、同時に隣の女の子も目を覚ました。二人の意識が覚醒する。寝ぼけた顔の奏は気持ちのいい風と日差しを浴びてゆっくりと伸びをして、止まった。隣の女の子も一度寝返りを打って芝生の匂いと感触を十分に受けて、脳より先に身体がその異常な環境に反応してフリーズしていた。二人とも最初は情報過多でどう反応していいのか分からないような表情をしていたが、先に奏が現状を把握する。

『あれ?私は、何を、たしか、女の子…この子を助けようとして…ここは…』

『多分、異世界だろうな』

俺の答えに奏は何を言っているのか分からないといった顔を浮かべた。奏にも異世界ものは結構お勧めしていたと思うのだが。どうやら足りなかったらしいな。

『ほぼ間違いないだろうな。風景といい、シチュエーションといい。』

『いやいや、え?何を言ってるの?』

『どう考えても、そうだろ。逆に、それ以外にどんな可能性があるってんだよ。』

『そりゃ、私たちが寝てる間に誰かがここに連れてきたとかさ、』

『その可能性の方が低いだろ。それに、俺たちは絶対にあの電車に轢かれたはずだ。なのに、全くの無傷だなんて普通じゃありえない。』

『異世界……』会話を聞いた女の子が"異世界"という言葉に反応を示し、初めて声を発した。

『身体大丈夫?痛いところとか…』

『あなたが私を助けたんですか?』名前も知らぬ少女は奏の問いには答えず、質問で返す。その目は仮にも命の恩人に向けるものではなかった。

『余計なことをって思ってる?』

奏の質問が意外だったのだろう。少女は少し驚いた顔をする。たしかに、奏は一見、『そうだけど、何をそんなに怒ってるのか分からない。』というタイプの人間に見えるだろう。だが、それは違う。奏の心優しさはそんなものではない。悪気なく相手を傷つけることすらない。

『余計なことをしなければ巻き込まれずに済んだものをって思ってます。』

今度は奏が驚いた顔をする番だった。どうやら、思った以上に気の強い子らしい。かなり棘のある言葉だ。この辺で俺も会話に入れてもらおう。

『君、名前は?』

『人に名前を聞く前にまずは自分が名乗りましょうよ。』

本当にこんなことを言うやつが存在するのか。実際に言われると怒りより驚きが先行すると知った。まあ、中学生らしい彼女は思春期と厨二のハーフだろう。数年前に同じ道を通った先人としてここは広い心で接してやる。

『俺が空見凛斗、こっちが雪宮奏だ。よろしく。』

『雪宮奏です。よろしくね!』奏の笑顔に押され、彼女は目を逸らす。分かるぞ、お前。奏の笑顔には謎の圧が乗ることがあるんだよな。女の子は名前を名乗るのも躊躇っていたが、一応の礼儀は弁えているらしく渋々と『永野吹雪』とだけ名乗った。そういえばこの子――永野吹雪もかなり落ち着いている。俺たちとは違い知っている人間がいるわけでもないのに。まあ、もともとは死のうとしていた人間だ。ある種諦めからくる落ち着きがあるのかもしれない。

『私の名前とちょっと似てるじゃん』と嬉しそうに距離(物理)をつめて奏は言うが言うほど似ているか?

『別に似てませんよ』どうやら俺だけの感想ではなかったようだ。似た価値観を持ってくれていることに少し安心する。ここで、『私も似てると思ったんです!』だなんて言われたらただでさえ男女の差がある上、孤立感が深まる。気持ち的に。

『似てるよ〜冬っぽい感じがとか』いかにも頭の悪そうな返答に少女は顔を顰めた。こんなやつが日本の高校生トップレベルの頭脳の持ち主だなんて知ったらどんな反応をするのだろうか。達観したこの少女は日本の未来を憂うかもしれない。

そんな会話を聞きながらも俺は意外とこれからについて考え始めていた。こういう場合、元の世界に戻るのはほぼ不可能に近いだろうし、幸いなことにここは小高い山のようなところで下にはかなり大きな街が見える。今後のことを考えると街にいく他ないだろう。だが、対応が分からない。異世界人は歓迎されるのか。そもそも言葉は通じるのか。問題は絶望的なほど山積みだが、ここで考えていても仕方がない。

『なあ、そろそろ今後のことについて考えないか?』

『どうせもう考えたんでしょ?』即答だった。

『いつもそうじゃん。いいよ凛斗が考えた通りで』完全に俺の習性を看破されている。その通り過ぎて返す言葉もない。信頼されている嬉しさより、見透かされていることの悔しさが勝り、渋々、俺は街にいくことを提案した。

『正直、かなり危険だ。でも、他にどうしようもないと思う。吹雪ちゃんもそれでいいかな?』

『別に構いませんけど。ただ吹雪ちゃんはやめてください。気持ち悪いです。』なんてことだ。この台詞を現実で聞けるとは。しかもなかなかの美少女の口から。

『なんて呼べばいい?』聞きながらも『吹雪でいいです。』という返答が脳内再生されていた。ツンデレ系はどの作品でも至高のキャラクターだ。

『呼ばなきゃいいんじゃないですか』

『ここが現実だって理解したよ。』

『よくわかりませんが気持ち悪いです。』

理想とのギャップが身に染みたところで、本格的に今後について決めることにする。

『話を戻すけどあの街に着いた後は基本その場凌ぎの対応になると思う。この世界についての知識が全くない以上計画の立てようがない。あの街があるいは王都とかなら王や貴族に取り入るのもアリだと思う。』

『私も賛成かな。あの街がこの世界の主要な都市である可能性は結構高いと思う。立派な城も見えるし。偉い人なら元の世界に帰る方法も知ってるかもしれない。』

『...』

『そうだな。ならもう出発しよう。かなり距離があるからな。暗くなる前には着きたい。』 

暗くなるのかさえ分かりませんけどね。という言葉を肯定と受け取り、俺たちは歩き始めた。誰かに会った時のため俺たちの身分をどう説明するか、脳をフル回転させて歩いていると、幸いなことにしばらく歩くと明らかに人の手が加わっているであろう道が出てきた。呑気に何かを話している2人に一応声をかけておこう。

『多分この道に沿って行けば街に行ける、、』

言い終わらないうちに背後から迫る音に気づく。地面が揺れる。誰かくる。隠れるのはもう間に合わない。気づくのが遅すぎた。後ろを振り返ると、迫り来るのは8本足のバケモノ、などではなく、僕らの知識にもあるもの、馬車であった。とりあえず一安心、などできるはずもない。問題は僕たちを見て馬車が止まるかどうかだ。頼むから止まらないでくれ。という願いも虚しく後ろから来た馬車は俺たちの横で止まってしまった。心臓が跳ねる。足は無意識に後ろへ下がっていた。2人を見ると、どうやら俺と大差はなく、顔を強張らせていた。中から初老の男が降りてくる。年は50半ばくらいか。髭を伸ばし、優しそうな目をしているが腕は信じられないくらい太い。手には何も持っていないが、道具なんかなくても俺たち程度一瞬で殺せるだろう。ーーーこちらから話すことはできない。心臓の鼓動が大地に伝わる。

『ーーー君たち、こんな所で何しているんだい?』耳で音を受け取り脳で解釈するまでいつもの倍の時間がかかった気がした。間違いなく、日本語だ。恐る恐る返答を口にする。

『遠くからあの街に向けて歩いてきたんです。』これは元々決めていた設定だった。特に何も伝えていないに等しいが、発言をすればするほど墓穴を掘る可能性がある。具体的なことなんて言えるはずもない。

『子供たちだけでなんて何かあったのかい?』

ーーー通じた。会話が成立した。張り詰めていた緊張が少し解けた。言葉が通じるか通じないかで生存率は大きく変わるだろう。言語に壁がないのはせめてもの救いだった。なぜ異世界で日本語が通じるのか、なんて異世界に来てみれば何も不思議ではない。なんたって異世界にきているのだから。少し間をおいて男の質問に答える。

『実は僕たち兄弟を女手一つで育ててくれた母が先日亡くなってしまったんです。それで、向こうの街にいる親戚のお世話になろうと思いまして。』準備していた内容とはいえ一言一言が生死に直結していると思うと鼓動が早くなる。僕らの常識が通用しない以上いつ地雷を踏むか分からない。男は一瞬3人を見た後、悲しそうな表情をした。感情が表に出やすい人間に見える。

『なんと。若いのに神は大変な試練を与えなさったものだ。しかし、ここであったのも何かの縁だ。どうだね、街までこれに乗っていかないか。』

そう言って馬車を叩いた男に俺は驚いたような表情を向ける。だが、この提案は完璧に狙い通りだ。その言葉を待っていた。驚いた表情を浮かべたのは当然、そんなこと想像もしていない奴の方が助けたくなるだろうという打算的思考があったから。

あとは礼を言って乗るだけだが、今後のことを考えると次に口を開くのは僕じゃない。

『本当に良いんですか?』

奏が俺と同様に驚いた表情を、より喜びを出して浮かべている。俺も別にわざとらしい顔をしているとは思わない。しかし、やはり心で思っていることは多少なりとも相手に伝わる。それを俺は今までの人生で嫌というほど知らされている。

だからこそ、ここで1番に礼を伝えるのには奏が適任だった。

『もちろんだ。むしろ絶対乗ってくれ。ここで乗せずに帰っちまったら気がかりで夜寝れなくなる。』

『本当にありがとうございます!』満面の笑みで礼を言う奏。どうやら奏の笑みは異世界でも通用するらしい。男は少したじろぎ『荷台になっちまうが、』と付け加えるた。僕が言うと下心があるように聞こえる言葉も奏がいえば心からの感謝に聞こえる。まあ実際その通りではあるのだが。


その後、僕と吹雪も礼を言って荷台に乗せてもらい、馬車は街へと走り出した。肌で風を感じながらこの距離を歩くとなるとかなりしんどかったなと改めて感じた。正直ここまでは何もかもが完璧だ。

『最初に会えた人が優しそうな人でよかったよー。』

『分かりませんよ。これからどこかに売り飛ばされる可能性もあります。』

『吹雪ちゃんは人を疑いすぎだよ。いい人だよ。絶対。私人を見る目あるもん。』

『それには賛同しかねるけど、最初にあの人に会えたのはデカすぎる幸運だ。ーーだからこそこの幸運は最大限利用しなきゃ行けない。』

『どういうことですか?』

『情報をもらうってこと?』

『そういうこと。あとは保険になってもらう。上手くいかなかった時に助けてくれる人を作っとくことは大切だ。』

『そっか。じゃあ仲良くならないとだね。』

アホそうな言い回しだが奏はしっかり意味を理解している。それが自分の役目であるということも。

早速奏は男に話しかける。前から思ってはいたが、コミュ力お化けにも程があると思う。

『あの、本当にありがとうございます。お名前を聞いてもいいですか?』

『俺はガーファだ。歳は今年で58。農業と採れた物の配達をやっている。ほれ、その辺に色々置いてあるだろう?』

『ほんとだ!美味しそう〜』

『だろ?特にそこのパトォウは、俺が育ててる中でも一番の自信作だ。』

『パトォウってどれですか?』

『お前、パトォウ知らねぇのか?』

『食べたことないかもです。』

『そりゃ驚いた。、、、いやまあ最近の不況じゃあなぁ。思ってたよりも状況は厳しいってことか。』

『え?』

『いや、なんでもねぇ。パトォウってのはそこの紫色の丸い奴だ。いちばんたくさんあるだろ。茹でて食うと甘くてめちゃくちゃ美味いんだ。だがまあ、ここしばらくは土地が枯れちまってるところが多くてなぁ。パトォウも全然採れなくなって今じゃちょっとした嗜好品さ。どこもそんなもん作るなら年貢納めるためにソビ作るのが先だってな。』

『そうなんですね。じゃあ今から行くあの街も食糧不足なんですか?』

『いや、都外に比べちゃ十分にあるさ。少なくとも飢えるような状況じゃねぇ。中の奴らは、少々値が上がって食糧難だなんて言っちゃぁいるが、俺から言わせりゃ金払えば食えんだから大したことじゃあねぇ。』

『あの、実は私たち他の街のこと全然知らなくて。むこうの街はどんな街なんですか?』

『まじかよ嬢ちゃん。あそこがどこだか知らなくて目指してたのか!サルベートは王都なだけあって栄えてる街だな。何でもあるし誰でもいる。最近は例の出来事のせいで沈んだ雰囲気じゃがじきに活気も戻るだろ。』

『最近の、例の出来事ってなんですか?』

『おいおい、嘘だろ。そりゃもちろん巫女様の逝去だよ。』

"巫女様"が誰かは分からないが相当名声の高い人だったのだろう。1人の死が街の雰囲気も変え、情報が隣町まで流れることも当然な程。

『それにしても君たちはどこからきたんだ?王都や巫女様についても知らんようだし、格好も見たことねぇ。』

奏が一瞬こっちを見る。この質問はいつか来るとは思ってはいたが、こればかりはどうしようもない。俺たちが隣町の地理やまして街の名前を知っているわけがない。

『ガーファさんがきた方向にある1番近い街だと思います。実は私たち、家庭の事情もあって、外に出ることがほとんどなかったんです。それで、地理とか街の外の様子が全く分かってなくて、、、』

今はこの説明に納得してもらうしかない。多少無理がある気もするが、ガーファは特に追って質問してくることはなかった。納得してくれたのか、もしくは何かを察したか。

『子供というのに大変な生活を送ってきたみたいだなぁ。多分君たちがいたのはフードルという街だろう。そこのパトォウもフードルからの荷物さ。』

そう言われてもう一度隣に積んである荷物に目を向ける。箱の後ろを見ると、フードル〜サルベートと書いていた。文字を認識した後、遅れて文字が読めることの喜びが流れてきた。

奏がガーファと話している間に俺は自分の中で情報を整理する。まず分かったことは言葉と文字が共通であることだ。異世界転生の典型としては、文字が読めない場合もあるので当たりを引いたと考えて良いだろう。

そしてこの国はかなり宗教色が強い。これはガーファの言葉から分かった。まあ文明レベルもあまり高くは無さそうだから当然かも知れない。元の世界でも昔は宗教が大きな権力を持っていたのだから。そして、これから行く街が王都であることだ。"王都"なのだから当然この国の王がいるのだろう。であれば、僕たちは王宮に行くのが正解かも知れない。冒険者ギルド的なところに行って冒険者として生計を立てるという手もあるが貧弱な僕らにそれが叶うとは思えない。特別な力でもあれば別なのだが。その上で、何としても俺たちが得なければいけない情報。それは当然"異世界人"についてだ。だが、これはかなりリスキーな質問だ。まあリスクのない行動なんて今の俺たちに取りようもないのだから仕方ない。

『ところで、ガーファさん。僕たち母から変な人の話をいつも聞いていたんです。違う世界から来た人?みたいな。そんな人って本当にいるんですか?』

『まだ突然だな!違う世界?そりゃ外から来た奴なら今までに何人かいたらしいが...違う世界となると天上から来られる巫女様くらいのもんじゃないか?』

また"巫女様"か。まあ僕の知る設定では十中八九その"巫女様"とやらは異世界人だろう。確証はないが。しかしそれともう一つ気になることがある。

『外って何ですか?』

『フードルの村の端に壁があったじゃろう?あれの外側じゃ。いくら何でも見たことあるじゃろ。』

『あ、ああ、あの大きな壁のことですか。』

これ以上の追及はまずい。とりあえず民衆には異世界人の存在は知られていないらしい。

とりあえずあとは奏に任せ、俺は1人下を向いて黙っている吹雪に声をかける。

『吹雪ちゃんから聞いときたいこととかある?』

『ありません。あとやめて下さいって言いましたよね?次はセクハラで訴えますよ。奏さんに。』

『ごめんなさい。悪かったです。』

『でも、正直驚きました。2人ともすごいです。こんなことになったのに落ち着いていて。』

『落ち着いてなんかないよ。今も軽くパニック状態だ。でもそれを隠す努力をしてるだけ。、、、まあ、あれは才能の域だけどね。』僕は未だガーファと楽しそうに話す奏を指差す。吹雪も半分呆れた様子でため息をついた。

しかし言葉とは裏腹に俺は少しーーいや、かなり自分に酔っていた。俺は異世界でなら上手くやっていけるんじゃないだろうか。

そんな風に思ってしまった。

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