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内緒話

「……そうか、やはり決定事項の様だな。」


 アリエルが目覚めたことと勇者様の話でほぼ確定事項になってしまいましたね。ほぼ確実に神話の邪神が復活する。


 その目的は分かっていませんが、それでもこの世界の敵であることには違いがありません。でもあまりにも想像がつかな過ぎて実感がまったく持てません。


「一年だ。私が目覚めてから一年後にアンリマユが復活する。そうなるように調整したからな。」


 はい?一年後?そうなるように調整した?……うーん。眠たくなってきましたよ。


「……相変わらずやることが桁違いだな、叔母様は。」


偽未来測定眼(ラプラス)で未来を見ればできないこともない。その代わり、今でも全盛期の1割も力を出せないし相応の犠牲もあった。がそれでも今度こそ私が終わらせないといけないからな。」


 数千年の時を経ても一抹のほころびも見せない強固な覚悟の裏に少しの悲しみの情を感じました。共感スキルがなければ私も見過ごしてしまうほどの小さな揺らぎでしたが、でもそれが不安でも恐怖でもないことが私の中で少し引っかかりました。


「……えーと、それで聞きたいことがあるんだけど。」


「ん?まだ何かあるのか?」


 勇者様が沈黙を決まず気に声を上げるとティターニアさんが答えました。アリエルはもう何も言うことはないと言わんばかりに私の胸に背を預けてきました。


「えっと、ヨミは吸血鬼になったんだよね?しかもアリエル様の娘として。」


「そうだ。吸血ではなく授血によって吸血鬼となった、正真正銘真祖の吸血鬼だ。」


「そうなんだね、不死者になったんだね。」


 ……そうでした。勇者様にはお世話になっていたのにこれまで隠してたんでした。


「すいません、勇者様。吸血鬼ってうことを隠していました。」


「ああ、別に大丈夫だよ。理由を考えれば当然のことだし。僕だってあえて公言はしないかな。」


「でも……。」


 何か言いづらそうに勇者様が言葉を詰まらせました。えっと、なにか聞きづらいことでもあるんでしょうか?


「聞きたいのはそれだけじゃないんだろう、勇者?貴様の疑問には答えてやる。その代わり私の問にも答えろ。」


「そうして頂けるなら、願ってもないことです。」


「……時間的にもう夜だから大丈夫だな。少しだけ待っていてくれ。二人で話してくる。」


 それだけ言うと膝の上から重さが消えました。それと同時に勇者様の姿もこの部屋からいなくなりました。


「……え?」


「結界魔法に空間の権能を上乗せすることでこちらとのつながりを完全に断ち切ったか。(よほどヨミには聞かせたくない話だったんだろう。大方予想はつくが、過保護が過ぎるな)」


 ティターニアさんの言葉通り完全に気配も消えましたし、スキルでもアリエルの感情を感知できません。えー、本当に別世界に飛んでしまったみたいですね。







「さて、話を続けようか。」


 二人はアリエルが用意した周囲が真っ白の世界に移動していた。


「……ここは?」


「ここは私の結界魔法に私の権能を上乗せしたものだ。大したものじゃないが、密談にはもってこいだ。それで?おそらく私が聞きたいことと貴様が聞きたいことはおそらく同じだと思うがどうだ?」


「おそらくそうですね。私が聞きたいのはヨミのこと。あなたが聞きたいのは私のこと。」


「だろうな。ヨミに何をしたか知らんが、貴様はそのせいで全力を出せなくなった。リヴァイアサンとの闘いの時に始まり告げる祝福の剣(マルミアドワーズ)ではなく偏重もたらす正義の剣(エクスカリバー)を使っていたのが証拠だな。だがヨミが吸血鬼になったことで状況が変わったせいでどうすればいいかわからなくなったと。」


「その通りです。そしてあなたはあなたが知らないヨミの過去を私から聞きたいと。ヨミは血のつながったあなたの娘になりました。だからこそあなたはヨミの秘密に気づいているのでしょう。」


「やはりそうなのか。かつて一度死にかけた時に貴様に助けられたとヨミは言っていたが、


 ―――死にかけたのではなく、一度死んだのだな?」







 しばらく待っていると二人が再び突然帰ってきました。二人とも少し複雑そうな顔をしているのが気にかかりましたが、でも触れてはいけなさそうな雰囲気を二人だけでなくティターニアさんからも感じたので特に触れられませんでした。


「さて、それで私から話さないといけないことはあと二つある。次の戦争のこと、そしてリヴァイアサンとの闘いについてだ。」


「……次の戦争ですか。近いうちに起こるって言われてますよね。」


「ああ、そして有史以来最後で最大の戦争になるだろう。」

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