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おうちかえる

「〜〜〜〜脱出です!!月明かりが心地いいですね!!」


 なんだかんだありましたが、想像の10倍早くダンジョンから出ることができました。なんでこんな早く出れたかというと、風の動き?を肌で感じられたからですかね。


「……ん?もう外か?ふぁーーあ……。」


 肩から寝起き声が聞こえてきます。アリエルは途中で話し疲れたのかすぐに眠ってしまったので、私は1人トボトボ歩いてましたよ。まあ、全然重くなかったのでいいんですけどね。


「ダンジョンの入り口だというのにもさもさしてないのだな。中もそうだが、私の知るダンジョンとはまるで違う。」


「ここは初心者用のダンジョンですからねー。出る魔物もほとんどがゴブリンとかオークとか弱いものばかりなんです。ミノタウロスとか初めてみましたよ……。(ボソッ)」


「ん?まさか、そんなはずはない。ここは辺境にある難易度がめちゃくちゃ高いダンジョンだったはずだ。」


「そうなんですか?でも今はそんなことありませんけど。」


 私たちの前に広がっているのは青々とした草原です。人がたくさん歩いているせいか整地されており、本来であればないはずの道が見てわかります。

 そしてその道の先に私が住んでいた街、ウリオールがあります。冒険者の街っていうことで結構有名ですね。急ぐ必要はないのでゆっくり行きますか。


「そうみたいだな。なら気にしないでいい。それよりも早く貴様が住んでいた街に行くぞ。ギルドに行って情報を集めねば。」


「そうですねー。でも今の私を見てわかりますかね?黒髪だった人が突然白銀にかわってたら気づかないのでは?」


「それだけじゃないがな。髪は白銀に、瞳は朱色に、瞳孔は暗赤色へ。典型的な白の吸血鬼だ。」


 え?そんなに変わってるんですか?そんなの誰も気づかないに決まってるじゃないですか。


「だがかえって気付かれないのはいいことだろう?なにせこれから貴様を嵌めたかもしれない相手のことを探るのだから。」


「!そうですね。」


「……。一応聞いておこうか。貴様のパーティーメンバーはどういうやつだったんだ?」


 私のパーティーメンバーですか。


「えーとですね。私含め4人パーティーだったんですよ。

 1人目が剣士のコウセツ。最初は私以外みんなEランクだったんですが彼は一足早くEランクからDランクに上がったんですよね。実力は確かなんですが、調子に乗りがちな子です。Cランクの私がいたのにパーティーリーダーみたいなことをしようとしてましたし。


 2人目が盾メインの剣士ジュン。彼は良くも悪くもコウセツの言いなりでしたね。私の言うことを聞かないしどうしようかと思ってたんですが、コウセツとの連携はそれなりでした。なので今はDランクにあがれてますね。


 3人目が魔法使いのエリザ。彼女もまた随分と自信家で私の言うことなんてかけらも聞きませんでしたね。それどころか、自分の魔法の方が綺麗だとか威力も強いだとか。そんなはずはないんですけどねー。まあ、普段私が使う魔法は効率重視で見栄えのあるものでなかったのも悪いですが。」


 最初はこんな子たちだとは思わなかったんですけどね。アドバイスもしっかり聞いてくれてたし、なんなら質問にまで来てましたし。

 でもコウセツがDランクに上がった日から彼らも変わってしまいましたね。


「貴様は怒ってないようだな?なぜだ?私と会わねば、貴様は死んでいたんだぞ?」


 怒っていないか、ですか。難しいですね。


「うーん。まあそもそも私は話した通りいつ死んでしまってもいいんですよね。もうすでに一度死んでしまってるようなものなので。なので自分のことにそこまで怒れないのかもしれません。」


「ヨミ、貴様まだそんなことを言って……!」


「ちょっと静かに!アリエル、後少しで街だから。だれかに聞かれたらまずいでしょ?」


 私の言葉にアリエルはウグゥと言葉を飲み込みました。ごめんね、でも喋れる猫なんて狙われるか、最悪魔物認定されるかもしれないし。でもなんで怒ってたんだろう?



「止まれ!!こんな時間に一体誰だ!?」


 誰とも会わずに、というか気配すらも感じない内に街までたどり着きました。すると石造りの門の奥から衛兵さんがやってきて大声で怒鳴ってきました。

 肩で寝ていたアリエルがゆっくり瞼を開いたのを感じます。


「冒険者です!ダンジョンの中で迷ってしまって!!」


「……冒険者か!?分かった、カードを見せろ。」


 言われた通りにポケットからカードを取り出して若干及び腰の衛兵さんに渡しました。……何かあったんでしょうか?


「Cランクか。それほどの実力があればこんな時間までかからないだろ?なにかあったのか?」


「ちょっと地図をなくしてしまって……。それにこの猫ちゃんも拾ったんですよー。可愛くて連れてきてしまいました。」


 肩に乗ったアリエルに目配せしながらそう言いました。すると意図を汲んでくれたのか、彼女はニャー、とか言いながら毛繕いを私の肩の上で始めました。……何やってんですか?まあいいですけど。


「……分かった。もう冒険者ギルドは閉まってるから明日の朝行ってこい。今日は早く帰ってさっさと休め!いいな?」


「任せてください。休むのは得意です。」


「……そうか。よかったな。」


 あれ?もしかして今呆れられました?なんでですかね?


 まあとにかく私の生まれた街、冒険者の街のウリオールに到着しました。うーん。目は冴えてますが、寝れますかねぇ?

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >「それだけじゃないがな。髪は白銀に、瞳は朱色に、瞳孔は暗赤色へ。典型的な白の吸血鬼だ。」 よくある誤解ですが、『瞳』と『瞳孔』は同じ部位ですね。黒目の外側部分(一般に瞳と呼ばれがち…
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