表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/145

どうやってここに来たんでしょうか?

「ティターニア?大丈夫?なんか頬が腫れてるけど。」


「気にするな。それよりもすまんな。星の精霊の力を借りてここまで飛んできたわけだが、こっちの状況までは読めなかった。」


「気にしないでいいよ。今日来た要件は結社についてでしょ?」


「そうだ。明日からは私も参加する。街の中にいる精霊の声を聴くからやろうと思えば明日中に見つけることだってできるな。」


 え、そんなことできるんですか?すごすぎませんか?私達がこれからしようと思ってたことって一体……?


「それはしっかりと相手の情報がわかっていたらでしょ?分かってなくてもできるの、それ?」


 今度はカレンさんが入ってきました。……前から思ってましたけど、従者と主って感じがしませんね。私達が言えたことではないと思いますけど。


「う。」


 あれ?もしかしなくても出来なさそう?


「相手の正確な情報がわかるまでは、せいぜいが情報の共有のお手伝いでしょ?いくらSランクだからって背伸びしてると痛い目見るわよ。これまでも見てきたと思うけど。」


「わ、分かっとるわい!だからお前達に協力をしてほしいんだ。私が直接動くとそれそれでこの街の中じゃ、異常事態だ。3人に精霊をつけるから怪しい男をピックアップしていってくれ。そうすれば今度は私がその男に精霊をつけて監視するから。」


「……はぁ?冗談もほどほどにしなさいよ?あなた、私に仕事を全部押し付けて今日一日ぐぅたらしてたわよね?一体どう弁解してくれるのかしら?」


「だ、だからそれはこの柔らかい私の頬を見てくれれば……。」


「そんなんじゃ足りないわね。そもそもそれはさぼってたことへのお仕置きよ。正当な対価を求めるって言ってるの。」


 あれあれ?なんか雲行きが怪しくなってませんか?主従逆転してませんか、これ?


「わ、分かった。全部終わったら一週間休みでいいから。それでいいだろう!?」


「……まあいいわよ。それで?」


「?それで?まだ何かあるのか?」


「私はそれでいいわよ。でも二人は?この街の住人でもない二人に厄介ごとを押し付けるんだから、分かってるわよね?」


「あ。」


「まさか手ぶらで帰らせるつもりだったの?それはそれで主失格ね。教育し直しかしら?」


「ま、待て待て!!ちょっとど忘れしてただけだ!二人にはしっかりと報酬を渡す!なんなら色も付けちゃう!」


「だそうだわよ。二人ともしっかりと考えといてね。このろくでなしは分不相応にもいろんなもの持ってるから。」


「だ、だれがろくでなしか!!」


「誰が何と言おうがろくでなしはろくでなし。それは私達がよくわかってるわよ。」


 どうしましょう。場違い感が半端ないですよ。強張った愛想笑いしか出来てないと思います。カレンさんの素の声ってこんなに気だるげなんですね。


 ……でもカレンさんの言う通りティターニアさんがろくでなしだったとしてもこの世界で5本の指に入る実力者であることには変わりないのでは?さっきも星の精霊?っていうのでここまで気配も出さずに転移してきたわけですし。


「まあまあ、二人とも座ってよ。椅子もちょうど2脚あるし。」


 夕飯の残りが置いてあるテーブルを囲うように4つの椅子が置かれてます。そのうちの二つを私たちが使ってるので、ちょうど2つ余ってますね。


 ちなみにこの椅子も結構すごいんですよ?高さはそこまで高くはないですが、その分ふかふかです。座ったらどこまでも沈み込んでいってしまうのではないかと錯覚してしまいます。私は初めて座った時は座面が抜けたと思って立ち上がっちゃいました。


「なら遠慮なく。……ほお!このマリネを買ったのか。目が利くじゃないか!さすが伊達にSランクをやってるわけじゃないな!」


 勇者様に勧められるがまま椅子に勢いよく座ったティターニアさんは机の上に残ってるものを見て目を輝かせています。……なんというか、話し方以外は子供みたいな人ですね。……あっ、食べた。


「……はあ。このろくでなしが申し訳ないわね。私から謝っておくわ。」


 カレンさんに謝られてますけど私は苦笑いするしかできません。どうするのが正解なんでしょうか……?


「というか何を話してたんだ?随分と決意を固めていたようだが。」


 机の上の残りをつまみながらティターニアさんが話を振ってきました。……すっごい話しづらいですね。犯人見逃したどころか回復させたなんて。


「僕達が来た初日にね、大怪我をした男と遭遇したんだ。その男は路地裏に倒れてたんだけど、今思い返せばティターニアが言ってた侵入者に特徴が似てたっていう話だよ。」


「……なるほど?つまりお前達は見たということだな?」


「多分ね。それでその男は随分な大怪我だった。だからそれに見かねたヨミが動ける程度に最低限回復させてしまったんだよね。」


「……はぁ?」


 さっきまでごはんに目を輝かせていた少女から明らかな怒気が発せられました。それは同時に大量の魔力も放出させていて、それに流されるように髪も逆立っています。……いや、これは魔力だけじゃないですね。


「敵を見逃したどころか、施しを与えただと?一体何の冗談だ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ