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一日目

 翌日ー。


 アリエルと話してたら気が付いたら空が明るくなっていましたよ。本当に何やってんでしょうね?まあ吸血鬼は寝る必要もないので全く支障はありませんが。


 なので飛行魔法の練習をしてみたかったんですが、さすがにやめておきました。街中で墜落なんてしたら大変ですからね。


「おはよう、ヨミ。よく休めた?」


「はい、勇者様。よく休めました。」


 一回のロビーに降りると、昨日と同じ恰好をしている勇者様が待っていました。かくいう私も大きい帽子をかぶっているわけですが。


 朝が早いせいか、広く清潔感のあるロビーにそれ以外の人はいませんね。昨日はロビーで喋っている宿泊客の人もいましたけど。


「じゃあ、さっそく行こうか。まずは冒険者ギルドからだね。」


「はい。確か中央広場の近くにありましたよね。」


 中央のお屋敷の周囲には冒険者ギルドや治癒院(回復魔法使いの人がいるところです。冒険者ギルドとは提携しているようで割り引いてくれるらしいです。)、商業ギルド(ウリオールにもありましたが、とても小さかったです。どうやら露店などの管理もここでおこなっているようですね。)、それに評議会(ここの代表者が話し合う場らしいです。あの精霊王さんが全部決めているわけではなさそうです)があるそうです。


 その中の冒険者ギルドなら情報集めに一番だろうということです。まあ多くの冒険者が集まるので情報収集にはもってこいですよね。


「そうだったね。じゃあとりあえず情報を集めたら別れて街を散策しようか。」


「そうしましょう。どこにいるかわかりませんし。」


 宿を出てすぐに大通りに出ました。その間に昨日男が倒れていた裏路地をちらっと見ましたが、そこに男の姿はありませんでした。どうやら助かったみたいですね。


 大通りは朝からにぎわっています。……一体いつここは静かになるんですかね?頭にハチマキを付けた巨人や小人が昨日私が食べたような大きな魚を担いで、大通りを中央へとぞろぞろと歩いています。


 一見すると何かの祭りと勘違いしてしまいそうな光景におお、と大通りの手前で気おされていると、通りかかった巨人の人が声をかけてきました。


「おうすまないね、坊ちゃんに嬢ちゃん。今ちょうど漁の帰りなんだ。中央広場の商業ギルドまで行くからもう少し暑苦しいぞ。」


「そうなんですね。お疲れ様です。昨日はお魚をおいしくいただきました。」


「そうなんだ、ありがとね!今日もすぐに新鮮な海鮮が街に並ぶから待っててねー!あと別にあたい達に遠慮しないで通りに出ても大丈夫だよー!」


「そうなんですね。ありがとうございます。」


 今度は巨人の肩に乗っていた小人さんがこちらに手を振ってきながらそう答えてくれました。小人さんも頭に小さいハチマキを占めててかわいいですね。


「そうだったね。朝早くに漁に行くからこの時間帯は結構混むんだったね。それにしてもすごい列だ。」


 さっきの二人の後ろ姿が随分小さくなっていますが、後ろがまったく見えてきません。この中に入っていくのは少し気が引けるんですがしょうがないですね。


「それじゃあ邪魔にならないように端っこを歩きましょうか。」


「そうだね。行こうか。」


 それにしても臭いがすごいですね。死臭っていうんですかね、魔物を倒した後にするいろんなものを混ぜて腐らせたみたいなとんでもない臭いがします。魔物であれ、魚であれ同じ生き物ということなんでしょうかね。


 それにしても不思議ですね。巨人は私達よりも体重がはるかに重たいはずなのに、まったく地響きがしません。しかも今は大きな魚を担いでるのにですよ?どういう仕組みがあるんでしょうね?単純に歩くときに意識しているのか、それとも地面に何か仕組みがあるのか。


 歩くときには意識してなさそうなんですよね。動きが自然で、普通に歩いているとしか見えないんですよ。しかも全員。足音を消すなんて一時期やってみようとしたことがありますけど、まったくできませんでしたから全員がそれをできるとも思えません。


 となるとやっぱり、地面になんらかの仕掛けをしてるんでしょうか?


「……ヨミ、一応周囲には目を配っておいてね。どこに隠れてるかわからないから。」


「ッ!すいません。そうですよね。今どこかに潜んでるんですもんね。」


 巨人の足と地面を凝視していた私は勇者様の言葉にはっと我に返りました。そうです。今はそんなことよりも、この街に潜んでいるという結社の人間を見つけないと。


「そう。いることは分っていてもそれ以外の情報はまったくないから用心に越したことはないよ。」


 うわぁ……。そう思っただけで歩くのがすごい怖くなりますね。


 一体この平和な街のどこにそんな危険なのが隠れてるんでしょうか?

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