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方針と脅威

 宿“光精霊のまどろみ”で私と勇者様の最上階である5階の二部屋を借りることができました。なので一旦自分の部屋に荷物を置いてから勇者様の部屋に集合ということになりました。


 ごはんはともかく話し合いを誰かに聞かれるわけにはいかないですからね。特にこの領都に敵がいるかもしれないなんて話を聞かれたら大変なことになります。


 なので少し恥ずかしかったんですが、今ちょうど隣の勇者様の部屋で夕飯を食べていたところです。


「ここの料理は他の街とは違ってユニークだから面白いね。味も食感も。」


「そうですね。ほとんどが初めて食べるものでしたけど、味付けが薄めなので案外すんなりと食べれてしまいました。」


 こんな大きな魚を食べるのは初めてでしたけど、しっかりとおなか一杯になりました。これまで食べた魚は川魚だったらしく、満腹まではいかなかったんですよ。だから専らお肉ばかり食べてましたけど、味付けが濃くて少し苦手だったんですよね。まあ食べないと冒険者の活動に支障が出るので仕方なく食べてはいたんですけど。


「ふう。じゃあおなかも満たせたところで、これからの方針を話し合っていきたいんだけど、その前に謝っておきたい。」


「え?何についてですか?」


「僕も意図してなかったこととはいえ、この街のトラブルに君を巻き込んでしまった事だよ。しかも秘密結社とかいうしんどい相手の問題に。


 本当にすまない。」


 そう言って机を挟んで向かい側に座っている勇者様が私に頭を下げました。


「ちょ、頭を上げてください。いえいえ。別に気にしてないですよ。


 ですが、知ってしまった以上放置して帰るのは逆に気が引けるので、できる限りで協力させていただけたらなとは思いますけど。」


「……そう言ってもらえると助かるよ。ありがとう。


 じゃあ早速方針を話していこうか。」


「そうしましょう。夜更かしは体に毒です。」


 まあそんなこと言っておいてなんですが、私は吸血鬼なので夜の方が良いんですけどね。特に昼間はとにかく大きい帽子のおかげで日光を遮断できたので今は元気いっぱいですね。


「そうだね、じゃあ始めよう。まずはここにいる期間。申し訳ないけど、解決するまでここにいることはできない。


 ヨミも知っているように、そう遠くない内に帝国との戦争が起こる。それだけでも十分脅威だけど、それ以前にこの国の中に敵勢力の拠点があってしまうとその度合いは跳ね上がる。不利な戦争から一転、負け戦だよ。だから、できる限り早く国王陛下には報告をしないといけない。


 このことを考慮に入れると、ここに滞在できる期間は長くても一週間。どうかな?」


「いいと思います。


 ですが、もしここが帝国の手に落ちたら私たちは挟み撃ちを喰らってしまうのではないでしょうか?それにそれだけでなく、多種族連合とも連携が取れなくなる可能性もあるかと思うんですが。」


「……確かにそうだね。ここの陥落は大丈夫だと思ってるけど、もし帝国に取られたらおしまいだね。


 でも、増援を求めようにも今は戦争準備で浮いてる人材なんていないし、もしいたとしてもみんな帝国領の方にいるからすぐにはこれない。それこそ一週間以上はかかる。

 かと言ってここの住人はできる限り巻き込みなくない。戦える者もいると思うけど、それよりもパニックが起こって収拾がつかなくなることの方が怖い。


 ……うーん、となると僕たちだけで解決するしかなさそうだね。しかも期限内で。」


「……そうなりますね。自信はないですけど、それでもやるしかないですよね。」


 条件から逆算したらそれしかないですもんね。正直想像以上なら大抜擢を食らって冷や汗ダラダラですが、そんなことも言ってられません。


 ていうか、え?まじですか?私と勇者様二人で正体不明の敵と戦うんですか?しかもミスったらほとんど負け確定の帝国と戦争をする羽目になると。……何をすればいいかさっぱりわからないですけど本当に私で大丈夫ですかね?止まっているはずの心臓がバクバク言いそうですよ。


「そしてやることは敵の把握とできれば捕縛。最悪死んじゃっててもいいけど、いろいろと情報をもらわないといけないからね。できれば生きたままで。

 まあこれは予想なんだけど、Sランク冒険者がいるこの街に襲撃を仕掛けてくるようなのは、結社の中でも結構上位に位置する人間のはずだからっていうのが大きいね。


 だからもし出くわして、危ないと思ったら僕を呼んで。あとで連絡用の魔道具も渡しておくから。」


 あー。まあ妥当ですね。だってこの領都のトップってSランク冒険者の精霊王ですもんね。私は今日実際に会うまで知らなかったので一般人は知らないでしょうけど、裏の組織だと知ってる人は多そうですよね。


 で、それを知ってたら間違いなく対策を打ってきますよね。絶対にばれないか、見つかって戦闘になっても確実に逃げ切れるか。


 それともSランクに匹敵するほどの実力があるか。……にわかには信じがたいですけどね。最悪を想定するのは作戦立案の時には必要なことですよね。


「……たった一週間でたった二人でやるにしては結構しんどいね。


 僕達Sランクと渡り合える実力者が来ているかもしれないことは脅威だけど、その反面チャンスでもあるんだ。初めてな上に急な任務だけど、絶対に完遂しよう。」


「そうですね。全力でお手伝いさせていただきます!」

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