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魔力きれきれ

剣士:武器の種類


長剣:オーソドックスな剣。特に癖もなく初心者冒険者から熟練の冒険者まで広い層に愛されている。この武器を使うものは大抵が無の系統に適性を持っていて、自らを強化している。


双剣:長剣よりも短く、軽い剣。両手で剣を使うために癖が強く、使いこなすまでにはかなりの時間がかかるため上級者向けの武器である。だが、身体強化の魔法と合わせれば一人でパーティーの前衛をこなせるほどの攻撃力と速度を持つ。


細剣:長剣よりも細い剣。そのため、斬るよりも刺突のために使われる。また魔法の無以外の系統に適性を持つ人がその魔力を纏わせて戦うこともある。

 当然長剣でも魔力を纏わせることができるが、細剣よりも体積が大きいために消費魔力が大きく長期戦闘ができないため、現実的ではない。

 さーてやってきました樹海ですよ。魔力切れまで頑張っていきましょう。


 ……ギルドから出るときに妙に視線を集めていたような気がするんですが気のせいですかね?まあ気のせいでも何でもいいんですが、以前のような不快な視線を向けられるよりもましです。吸血鬼になって見た目が変わったからですかね。


「さあ、行きますよ。」




「うぐええ……。もう、魔法が出ませんよ。」


 数時間後、私は樹海の中で倒れていました。魔力を最後の最後まで絞り出しました。昨日はここまで魔力を使いつくすことはできていなかったと思います。


「ほお、もうそこまで魔力を使いつくすことができるようになったか。すさまじいな、貴様は。一週間がかかると思ったんだが。使えば使うほどとてつもない本能的抵抗があっただろうに。」


 しみじみと私の隣でアリエルが呟いています。いや、昨日の段階でもう無理だと思っていたんですけどね。でも思ったよりも楽でした。苦しいしつらいんですが、それでも昨日ほどではありませんでした。今も体の中にある魔力がすっからかんだということは分るんですが脱力感が一番強いです。


「ふむ……。まあそこで休んでおけ。1時間もすれば魔力が回復するだろう。それまでは私が魔物を倒してやる。」


「いえ、魔力回復のポーションがあるので、大丈夫です。」


「は?……いや待てッ!!」


 え?アリエルの焦ったような声が聞こえた時には既に私はアイテム袋から取り出したマナポーションを飲んでいました。ほろ苦い液体が私の口の中に入ってきます。


「えっと、飲んではいけませんでしたか?」


「はあ……。いや、これは言ってなかった私が悪かったな。すまない。


 そもそも魔力を使い切ることの目的はヨミ、貴様の体内にいる精霊の感知だといったな。どうやってその感知をするのかだが、自然に回復する魔力の量の違いから彼らを探るんだ。精霊が空中の魔力の残滓、いわば魔素と言えるものを取り込み、魔力として還元してくれるその違和感から彼らの形を見る。

 だが魔力回復のポーションを使ってしまうとその違和感を感じづらくなる。」


 あー、なるほど。そういうことですか。つまり、今日やったことはすべて無駄だったと……。


「ああ、落ち込むな。全然無駄なんかじゃない。感じづらくなるだけで、まったく違和感を感じないわけじゃない。それに一度魔力を限界まで使い切れたとなれば大丈夫だ。」


「そうだよ。久しぶりの友達なんだ。元気出して?」


「その通りだ。……ん?」


 え?今アリエル以外の声が聞こえた気がするんですが……。顔を上げるとそこには空中に浮かぶ半透明の何かがいました。夜を閉じ込めたような優しい色の髪の毛、満月のようなきれいな瞳を持っていますが、小人とでもいうんでしょうか、体の大きさが手のひらサイズで、その背中には羽が生えています。


「なっ!精霊だと!?しかもまさか……!!」


「久しぶりだね、アリエル。結構長い間月光を浴びなかったでしょ?僕が来たのに起きれないほど精霊が消耗してる。まあそれは君も同じみたいだけど。その姿って新しい趣味?」


「そんなわけないに決まっているだろう。ヨミを吸血鬼にした時に与える血の量を間違えたのだ。しょうがないから無理やり体を猫に変えたんだ。それよりも暇なのか?こんな田舎に来るなんて。」


「暇だよー。だって今吸血鬼数えるほどしかいないもん。銀と金の吸血鬼ってなったらほんとにそれぞれが片手で済むほどだね。だから暇してるんだよねー。それに久しぶりの吸血鬼だし、僕が直々に祝福を上げようかと思って。」


「やはり吸血鬼の数は減っていたか。」


「うん。ちょっとずつ減っていってて、最近そろそろ危ないかなって思いだしたところだよ。でもまあアリエルが生きてるなら大丈夫かな。」


「私に任せるな。その結果があれだぞ。」


 いったい何の話をしているんでしょうか?祝福?それに吸血鬼が片手で済むほどしかいない?少ないとは聞いていましたが、そんなに少ないんですか?


「あ、僕はそろそろ戻らないといけないみたい。今のうちに祝福だけあげちゃうね。」


「ああ、頼んだ。またヨミと祭壇に行く。」


「うん、待ってるよー。妹ちゃんも最近会えてないからちょっと心配なんだよね。探してあげてね。」


 アリエルとの話は終わったようで私の方にひらひらと飛んできます。私の目の前で止まるとその小さい口を開けました。


「初めましてだね。僕は夜の精霊王、ネフティス。君の名前は?」


「な、名前ですか。えっとヨミです。」


「ヨミちゃんだね。うん、君の中の精霊はまだ意識がないみたいだね。でも大丈夫。きっとすぐに起きるよ。」


「は、はあ。そうなんですか。」


「うん。まだよくわからないだろうけど、いずれ分かるよ。だから僕も心ばかりの贈り物をあげよう。さあ、手を貸して。」


「わ、分かりました。」


 手をネフティス(様?)に向けて差し出すと彼(彼女?)はその手の上に座りました。すると羽をたたみ、その全身を薄い紫色のオーラで包み込みました。


「我らが良き隣人よ、願わくばその先に大いなる夜の加護があらんことを。」


 次の瞬間にはその姿が私の前からなくなっていましたが、私の手の平には何か模様のようなものが浮かび上がっています。それはすぐに消えましたが、何かをもらって、そしてそれが消えたわけではないことは何となく分かりました。

登場人物紹介


ゴリル


体力:B

魔力:D

物理:C

魔法:D

総合:C


生粋の前衛職。ウリオールの街では一番の使い手である。また彼は4人パーティーを組んでいて、パーティー全体ではBランク相当と言われている。


「ああ?なんだよ?ランク?そんな焦る必要はねえだろ。上げたきゃ、俺に媚びる時間があったら鍛錬にでも使うんだな。……しょうがねえ、付き合ってやるよ。」


ウリオールの街では頼れる兄貴のような存在で低ランクの冒険者からは面倒見の良さから慕われている。彼に限らず、彼のパーティーメンバーは街の最高ランクのパーティーとして後輩の面倒をしっかり見ている。そのため、その務めを果たそうとしないヨミに対してはいい印象を持っていない。

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