おやおや、思ってたよりもたくさんもらえました。
魔法使い:系統
風:風嵐系、雷電系
風嵐系:風とその発展形である嵐を起こせる魔法。
雷電系:雷とその派生である電気を起こせる魔法。
光:祝福系、閃光系
祝福系:回復やバフなどを行える、支援魔法。
閃光系:光の力に攻撃性を与えた攻撃魔法。
闇:呪詛系、闇鈍系
呪詛系:状態異常やデバフを与える支援魔法。
闇鈍系:闇の力に攻撃性を与えた攻撃魔法。
無:強化系、特殊系
強化系:剣士や盾使いなど近接戦闘を行うものが主に使う魔法。魔力を消費し、自らの身体能力上昇や感覚の強化をする。
特殊系:空間、時間などどの系統にも当てはまらない特殊な魔法が当てはまるが、これを使えるものはほとんどいない。使えるだけで、無条件でBランクをギルドから与えられるほど希少で強力な魔法。
※すべての魔法の設定を変更しました。
系統の魔法は二つに分かれ、しかしその系統に適性を持てばその両方の魔法が使える。属性に有利不利はなく、その勝敗は込められた魔力や技量によって決まる。
「……ふあーぁ。よく寝ました。もう夜ですか?」
朝ごはんを食べ損ねてからふて寝してましたが、気がついたらしっかり寝てしまっていました。そして膝の上には当然のようにアリエルが乗っていて寝息を立てています。……本当に猫みたいですね。伝説の吸血鬼でしたよね?
「……む?もう夜か。あっという間だっな。……今日も行くぞ。」
「うぐ。また魔力切れまでやるんですか……。」
一週間以内には終わるって聞いていますけど、でもしんどいですね。まあ割とすぐに苦痛の山を越えることはできるんですけどね。魔力量が多いと回復速度も速いようです。
「そういうな。やらないと貴様にとって大好きな魔法が危険なものになるんだぞ。」
「分かってますよー。」
というか魔法自体はいいんですよ、たとえ魔力切れまでやるとなっていても。問題はその前にギルドに行くって言ってしまった事なんですよね。はぁー、行きたくないなぁ。よく知らないうちに昨日の喧嘩の原因になってしまったんですよ?本当に行きたくないなぁ。
「じゃあ身支度するのでちょっと待っててください。」
冒険に行く時用の服に着替えて杖やらアイテム袋やらを装備したら準備完了です。この服なんですが、夜闇に隠れるために黒一色にしたんですよ。買った時は黒髪黒目でしたし。でも今は髪は白いし目も紅いんですよね。
……そろそろ替え時かもしれませんね。いい機会ですしこの街を出る時に買い替えるとしましょう。
ギルドにつきました。中からはいつも通り騒々しい声が聞こえてきます。昨日の今日でこれなのはまあ、その日暮らしの冒険者らしいのでいいんですが。……はあ、覚悟決めますか。そう、どうせ私のことなんてわかりませんよ。だって髪の毛も瞳の色も違うんですから。
ギルドに入るとそこには想像通りの光景が広がっていました。椅子も机も片づけられたままの状態ではありましたが、かえって広々使えているのかたくさんの冒険者が酒盛りをしています。やっぱり私の存在には気づいていないようです。
……よし、ならせこせこ行くとしましょうか。誰にも当たらなければ気づかれないでしょう。さっさと回収して樹海に行きましょう。
「ん?なんだあいつ、見たことねえやつだな。新人か?」
「しらねえな。だけど体格からして魔法使い、しかも女だよな。だれか声かけてみたらどうだ?ソロだと危険だろ。」
「私のパーティーはもう人数十分にいるから大丈夫よ。もし増やすとしても前衛が欲しいからどちらにせよ魔法使いはいいわ。」
「お、なら俺がもらおうかな。魔法使いならいくらでもいてくれていいし。回復魔法に適性があるともっといいけどな。」
……なんか言っているような気がしますけど無視しましょう。お、解体場にはまだ電気がついていますね。こんな時間なのにまだ働いているんですか。お疲れ様です。
あ、でも解体場の受付さんは眠そうですね。確か受付嬢と兼任している子で何度か顔を合わせたことがありますが多分覚えていませんよね。
「すいません。今朝解体の依頼を出したんですが。」
「ああ、はい。では冒険者カードを見せてもらってもいいですか?」
「はいはい。」
腰のアイテム袋から冒険者カードを渡しました。
「ヨミさんですね。……ん?」
おや?まじまじとこちらを見てきますね。もしかして覚えているんですかね?
「ああ、髪染めたんですね。似合っていると思いますよ。あ、これを受付に持っていってください。なんでも結構いい額らしいですよー。」
「そうなんですか?まあ一晩戦ってたのでそれくらいいってますかね。」
「一晩中戦ってたんですか?えっへー、大変ですね。今日も行くんですか?」
「はい。夜の方が集中できるのでちょっと頑張ってきます。」
「頑張ってくださーい。私はそろそろ終業なので帰って寝ます。」
眠そうな彼女から冒険者カードと4つ折りにされた紙を渡されたので、それを持って受付に行きます。結構稼いだってどれくらいなんでしょう?でもどうせ冒険者カードとつなげている口座に入れてもらうので現金はもらいませんが。
受付に向かって冒険者カードとさっき渡された紙を渡します。この受付嬢も眠そうですね。同じく顔なじみですが寝れてないんでしょうか?……まあこの時間に寝起きで元気いっぱいな私がおかしいんでしょうけど。
「これお願いします。お金はこのカードの口座に入れてください。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
口座といってもあくまでもギルドに預けています。王都とか領都に行けば預けるだけでお金が増えていく商業ギルドというものがありますが、ここにはまだ来ていません。
それでその金額は冒険者カードの裏面に記載されているのでそこで確認できます。私はお金はほとんど使わないので結構貯金できています。だいたい7桁くらいあったと思います。ふふん、すごいでしょう。その日暮らしは嫌だったので頑張ったんですよ。
「あ、入れ終わりましたよ。」
「ありがとうございます。」
「いえいえ。あ、あとヨミさん。ギルマスが話したいことがあるといってたので明日の朝ギルドに来てください。」
「……え?」
「いやそうな顔しないでくださいよ。このギルドでギルマスに呼び出されて顔を歪めるのはヨミさんくらいですよ。」
「まあ、私はいろいろあるんですよ。」
「そうなんですか。……そういえば随分イメチェンしたんですね。経緯はなんとなく知ってますけど、そこまで変えちゃうんですね。」
「あはは。そうなんですよ。」
自分でやりたくてやったわけじゃないですけどね。死にかけて吸血鬼になったら髪と瞳の色が変わっただけです。まあこれはこれで気に入ってますけど。
「まあとても似合っていますよ。その黒い服にもしっかり映えていますし。」
「ありがとうございます。でもそろそろ買い替えようと思ってるんですよね。これも長く使いましたし。」
「あ、そうなんですか。」
「はい。ではそろそろ失礼します。私は魔法の練習に行きます。」
「大丈夫だと思いますけど気を付けてくださいね。夜は魔物が昼間に比べて狂暴になっているので危ないと思ったらすぐ逃げてくださいね。」
「分かってますよ。これでもCランクなんですから。」
相変わらず心配性な子ですね。
ギルドにはたくさんの受付嬢さんがいますが、私がよくしゃべるのはいつも気だるげなさっき解体場にいた彼女と心配性なこの子の二人だけです。だってこの二人以外の対応は最悪ですからね。
登場人物紹介
アリエル(黒猫)
体力:――
魔力:――
物理:――
魔法:――
総合:――
かつて伝説の吸血鬼だった彼女は今は黒猫に姿を変え、ヨミの方を定位置にしている。ミルクを飲んだり、部屋を荒らしたりとはたから見たら完全に猫のそれであり、吸血鬼の面影はどこにも残していない。
「なんだ?猫が猫らしくしてたらだめなのか?……そうか。時に貴様、空間魔法使いの戦い方を知っているか?」
彼女は無の系統のうちの特殊枠である空間魔法の使い手であり、その圧倒的実力から初めてのSランクへと至った最強の魔法使い。吸血鬼故の強靭な肉体と夜の精霊の加護を受けた彼女と渡り合えたのは当時同じくSランクへと上り詰めた4人だけだったという。




