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開戦前夜 帝国

「おいおい。おめぇもこっちにいるのかよ。」

「こっちのセリフだ、ガート。なぜ私とお前が一緒に戦わなければならないんだ。

 お前もそう思うだろう?モードレッド。」

「……どうだろうね。私達の相手は変わらないからいいんじゃない?」

「それはそうだが。」

「王国近衛騎士団だな!いいよな、あいつら!二人揃えば俺たちと対等に戦えるんだぜ?」

「それがあちら側の最高戦力だとしたら弱いだろう。弱すぎるくらいだ。だから陛下が鏖殺を決断なさった。」

「そうだね。弱いよ。正直に言ってどうしようもないほどに弱い。深淵(アビス)を使ったら二人揃っていても相手にならない。」

「なら3人でも4人でも集めればいいだろう!最後の戦争だぞ?しっかり楽しく遊んでやろうぜ!」

「勝手にやってろ。私は部隊とアレを率いて攻め込むから。あなたはどうする?」

「私は向い打つよ。ないとは思うけど、最悪の場合を考えて後ろを守る人間は必要でしょ?」

「そうか。なら背中は任せた。

 ……それにしても酷い見た目だ。弱さが罪とはよく言ったものだな。」

「何を言っている?アレは陛下の慈悲の証だろう。ああ、あんな奴らにも慈悲を与えるとは、陛下の御心はあまりにも広い……!」

「この狂信者が……!」

「そんなの私は興味ないよ。陛下が下した命令を最優先で果たすだけだし。全てを殲滅しろというのが命令であれば、それを実行するまで。」

「そんなのは当然だ。私が言いたいのはそうじゃない。陛下の命を言葉通り受け取るのではなく、その意図を考えろと言っているのだ。」

「意図だと?その言葉通りだろ?陛下が鏖殺をお望みであれば、それをするまでだ。」

「それだけじゃ足りないって言っている。この戦争の後の陛下の望みは何だ?それを叶えられる最適な状況に持っていくことが我ら部隊長の使命だろう。」

「陛下の望み、だと?」

「……?」

「……はぁ、陛下の望みは母君の復活だろう。長い間眠っているかの方を蘇らせる。それが、陛下の望みだと説明をされたはずだが?」

「それは陛下がご自身でなさるという話だったはずだ。しかも陛下の母君に対しては、たとえ好意であっても触れるのは許されない。」

「その通りだよ。もしそんなことをしてしまったら、問答無用で陛下に殺される。それはあなたとしても陛下としても不本意なことのはず。」

「……それもそうだな。深入りはやめておこう。」

「それにしても、王国側には3人か。向こう側の方にどれくらい配置されてるんだろうな?」







「……ふう。こっち側はやかましいのがいなくて静かだね。」

「でも序列上位があらかた向こう行っちゃったからこっちは大変そうだよ、アンセルク?」

「でもさ、ジェイムズ。正直僕達にも差はあるけど、相手と比べたらあってないようなものだよ?」

「まあ、相手は弱いだろうけど。でもさすがに深淵(アビス)くらいはもってるんじゃないの?オーロラ、知ってる?」

「んー?……まあ賢者連中はもってるんじゃない?あとは犬っころ戦士長とか。っていうか、持っていてもらわないとこっちが困るっていうか。」

「それはそうなんだけど。まあ誰も知らないよね、敵方の情報なんて。」

「でもアンセルク、やっぱりおかしいよ?こっち3人しかいないのに序列1位と2位のどっちもいないなんて。これまでの戦争じゃありえないことだったと思うんだけど。」

「えー?そんな難しく考えなくていいんじゃない?確かにアンバランスではあると思うけど。」

「そもそも全員出撃してるん?うちからしたらそれが疑問だけど。」

「陛下は殲滅の命令を出したんだよ?なら全員出てもおかしくないし、その方が自然だと思うんだけど。」

「えー?だって作戦考えたのって、陛下じゃなくて宰相っしょ?あの石橋をたたき割って空を飛んで渡る宰相っしょ?ならおかしくないんじゃない?」

「……確かに。」

「ほらほらジェイムズ。オーロラも言ってるでしょ。肩の力抜いて。」

「はぁ。アンセルク達は力抜きすぎでしょ。あした開戦なんだよ?」

「どーせ敵なんてたかが知れてるでしょ。犬っころと引きこもりたちなんでしょ?」

「そうだけど。甘く見てると痛い目見そうなんだよね。」

「あれ?ジェイムズって予知の能力があったっけ?」

「ないよ。でも陛下の言葉が違ったでしょ?ならそこに違和感を感じてなんかしててもおかしくないでしょ?」

「あーね。でもうちらがいるんだからそんなのかんけいないっしょ。何が出てきてもうちの魔法で吹き飛ばしてあげるし。」

「……そっか。ならいいや。」

「ジェイムズは気にしすぎだなー。大丈夫だって。俺たちがいるし、それに陛下からもらった軍勢もいる。見た目は悪いけどな。」

「……あれね。うちは嫌い。うちには近づけないでね。かわいくないし、弱いなんて目も当てられないし。」

「なら僕が彼らを使うよ。代わりに僕の部隊の指揮は任せていい?」

「えー?なんでうちがそんなことをしなきゃいけないのよ。うちはうちの部隊があるからそれ以上は無理だし。それにジェイムズの所は真面目君だけで悪くはないけど、かわいくはないのよね。」

「なら俺がやっとくよ。だから任せたよ。」

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