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開戦前夜 王国近衛騎士団

第三章開始です。

よろしくお願いします。

「さて、近衛騎士団がここに揃った。全員で集まるのは久しぶりだね。」

「まったくじゃんね。でも、二人が抜けて今や11人。帝国の部隊長たちは正直化け物ぞろいだし?もう僕達が頑張っても意味ないんじゃね?」

「そう言うな。10人のうち半分がこっちに来るとして、やつら一人で私ら二人分。まだ11人いるんだからやりようはあるだろう。」

「いや、まあでも、僕は戦いに出るわけにはいかないから、10人だけなんだけどね。」

「そういうこと言わない、団長でしょ。士気が下がるわ。」

「あっはっは!さすがは俺たちの団長だぜ。相変わらず天然でいいじゃねえか。」


「そんなことはどうでもいい。俺はただあの裏切り者を殺すだけだ。」

「あんたはいつもそれね。……そんなに親友が裏切ったのが嫌だったんだ。」

「当然だ。俺があいつのことを殺す。それが折れに残されたやつの友人としての責務だ。」

「はいはい。まあ、私もアイツには思うところがあるからね。付き合ってあげるよ。」


「元気やなぁ。おじさんにはもうそないな元気はないやんな。のんびりやらせてもろても?」

「ババァ!何年寄りみてぇなこと言ってんだ!?俺を勝手にここに引きづりこんだんだ、責任取れや!」

「むっ!?誰がババアか!このピチピチの肌を見よ!」

「うるせぇ!何年物だ、この野郎。」

「おい、ランスロット!息子の教育がなってないぞ!あんなんでも師匠だろ?」

「私は知らん!そもそも強さこそが正義だろうが。礼儀など、できるやつがやればいい!」

「お、おう。お前も礼儀など知らないようなもんだもんな。」

「うるさい!」


「……おい、勇者。協力してやるとは言ったが、これはどういう状況だ?」

「うん?ああ、ごめんごめん。みんなに紹介をしておかないとね。

 はーい、一回聞いて!新しく近衛騎士団に入る、えーと。……ヨミちゃんだよ。」

「チッ。よりによってその名前を使うとはな。

 ……コホン。初めまして、ヨミだ。魔法はあらかた使えるが、中でも空間魔法が得意だ。よろしく。」

「今空いてるのは、第二席と第四席か。……第四には入れたくないから第二かな。うん、そうしよう。

 これから第二席に入ってもらうから、みんなもよろしくね。」

「いやいや、ちょっと待て、団長!

 俺は納得できねぇぜ!」

「ふむ、ガヴェイン。どうしてだい?」

「俺は団長のことを信頼してる。だから、その女も実力者なのはそうなんだろうよ!

 でも、そこはダメだ!第二席だけは認められねぇ!殿下が帰ってきた時のために、開けておくべきだ!」

「でも第四席はねぇ?さすがに可哀そうじゃん?」

「そうやなぁ。それに戦力的にも歓迎したいんとちゃう?おじさんたちじゃ、足りないのも事実やんな。」

「しかも空間魔法持ちか。私は賛成だけど。」

「俺は裏切りさえしないのなら反対はしない。」

「まーた、お前はそれ。ま、私も賛成。第二席でもいいんじゃない?」

「私は反対だ!殿下には返しきれない恩がある。」

「お袋の言うことに賛同するつもりはねぇが、俺も反対だ。」

「はぁ、お前らは似たもの親子だな。俺は賛成だ。」

「私は賛成だ。戦争があまりに近すぎる。」


「ふむ、賛成が7人、反対が3人、だね。どうしよっか。それに結構盛り上がっちゃった。」

「私はどうでもいい。どうせこの戦争が終わったら私はここからいなくなる。」

「そうとも言い切れないよ。ここにいる人は邪神のことについて多少は知ってるし。」

「だとしてもだな。私が共闘することはないだろう。」

「どうだろうね。まあ、どちらにせよ、僕達の本当の目的は殿下、ヨミの奪還だからね。」

「ああ、その場所は私は当然として、連れてきた二人でも分かるだろう。」

「ハーフヴァンパイアの子たちだね。ほとんど絶滅したと聞いていたけど、まさかハーフとして生き残っているとはね。」

「あんまり公にはするなよ。隠すつもりはないが、広める必要もないだろう。」

「そうだね。まあ、一応僕達の目的も話しておこうかな。」


「はいはい。ちょっと静かにね。突然のことで混乱してると思うんだけど、彼女に入ってもらう目的を話しておくよ。」

「?目的?」

「そう。欠番である第二席、ノア=スプリングフィール殿下が生きていることが判明したんだ。」

「「「ッ!!」」」

「だけど、そのためには彼女の空間魔法が必要なんだ。だから入ってもらう必要がある。」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!団長、本当なのか……?殿下が生きてらっしゃると?」

「うん。少し前まで領都に行っていたのは知ってるでしょ?その時に魔王閣下がやってきてね。どうやらそこにいるらしいんだ。」

「……団長!俺に行かせてくれ!あの人には命も生きる意味ももらった……!この恩を今こそ返したい!」

「気持ちだけもらっておくよ、ガウェイン。これだけは僕がいかないといけない。魔王を相手取れるのは僕しかいないよ。」

「でも!」

「……彼女の帰還を死体で迎える気かい?それで彼女が喜ぶとでも?」

「ッ!」

「だから僕が行く。でも安心して。聖剣の下賜はしていくから、戦力的にも問題ないはずだよ。」

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