『小説家になろう』で長編小説書いて、1年3ヶ月かけて完結させたよ。~増え続けるキャラクター、終わらない物語
◆ はじめに
このたび、拙著『暴走令嬢グウィネビア様、学園改革します!』(全311話、853,918文字)が無事完結しました。
わー、パチパチ。
六月十二日の時点で、ブクマ270件くらいです。
多分、良い数字ではないですよね。
私自身、ある程度人気のある作品ばかり読んでいるのに、この作品に興味を持ち、最後まで、いえ部分的にでも読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
記憶がまだあるうちに、なろうで小説を書こうと思い至った経緯とその過程を備忘録代わりに記しておきます。
小説を書いてみたい、投稿してみたいなと思っている人。
書いてるけど終わりが見えなくてつらい人。
そんな人たちの参考になれば幸いです。
◆ 元は読み専だった
私は150~250話くらいの完結小説を一気読みするスタイルの読み専でした。
新しい作家やランキングに載るような人気のある小説より、ある程度評価されてる人の完結作品を求めていたのです。
しかし次第に面白い小説に出会うのが難しくなってきました。
面白い小説がないわけではありません。上手く探すことができなかったのです。
人気作品は大抵書籍化され、途中で更新が途絶えています。
物語にどっぷり浸かるタイプの私は、途中で話が途切れてしまうと気持ちの行き場がなくなって辛いのです。
今は何作か未完の作品をチェックしてるのですが、更新が滞っているせいでなんとなく読めなくなった作品がいっぱいあります。
連載中の作品には、読者と作者そして物語の登場人物たちと同じ時間を共有しているようなライブ感があって楽しくはあるのですが、やはり完結作品一気読みが自分には合っているようです。
中々、自分にピタリと会う作品に出会えないでいるうちに、だったら自分で書いてみようじゃないか、と言う気持ちが生まれてきました。
◆ そうだ読みたい話を自分で書いてみよう
私の読みたいのは250話くらいで、舞台は異世界、主人公は女性、恋愛は少なめ。溺愛、ハーレムは苦手。こんなかんじです。
読むのは好きだけど書けるとは思えないので、戦闘、戦争、陰謀劇もなし。
3年間の学園生活の物語にすれば、大風呂敷を広げすぎて収拾がつかなくなることもないだろうと考えました。
スマホのメモ帳を使って、親指を頼りにポチポチと書いていきました。この時点でまだなろうに投稿しようとは思っていませんでした。
自分は完結作品一気読みが好きです。ならば自分で作る作品もきちんと完結させてから投稿しようと考えました。
とにかく書く(打つ)ことが楽しい日々が続きます。
ポチポチポチポチポチポチ……。
おかしい……。
学園物なのに入学式にさえ辿り着けない……。
ポチポチポチポチポチポチ……。
入学式は済んだ。
授業始まった。
いよいよダンスの授業が……始まらない。
ポチポチポチポチポチポチ……。
進まない話にしびれを切らした私は、物語に出てくる登場人物で違う話を書き、一万文字程度で完結させて投稿してみました。
一つの作品を投稿すると次が出したくなってしまい、結局30話くらい書きためた所で投稿することにしました。
何でもいいから反応(アクセス数)が欲しくて、適当に何話も投稿したためにストックがあっという間になくなりました。
そして地獄が始まったのです。
◆ 増えるキャラクター、進まない物語
あまり何話も投稿するとすぐにストックがなくなる(当たり前)ことに気がついた私は、とりあえず一日一話投稿を心がけました。
しかし、書けない日もあります。ついにストックはなくなり、休み休み更新することにしました。
そもそも一日一話、250話前後の話を作るということの意味を理解していませんでした。休みを入れると一年近くかかります。
読むときは十日くらいなのに、書いたら一年!
いや、当たり前のことですが、その途方もない時間に愕然としました。
そもそもなぜ話が進まないのでしょう。
話の進まなさは、王妃様のお茶会あたりから強くなりました。
登場人物が増え、しかも増えた人物にご丁寧に名前を付けてしまったものだから、新キャラの設定がふくらみます。そして作った設定、人物背景はいちいち出さずにいられない素人の悲しさ。削る能力はありません。
しかし、この時期は書くのがとても楽しかったのです。
こんなに簡単に物語を作ることが出来て、サイトにアップすればある程度体裁が整ったものができる。そして、読んでくれる人がいる。
楽しくて、楽しくて。でも、これ、終わらなくない? ちょっと、どうしよ……。次第に不安になってきました。
◆ 異世界学園生活も意外と大変だった
ダンジョンにモンスター、剣と魔法の世界はムリ。悪人も思い付かないから、宮廷陰謀劇もムリ。そうだ学園にしよう。
しかしこれもいざ書き始めると大変でした。
そもそも授業でノートをとるのでしょうか? 紙はあるの?
確か20世紀になっても紙は貴重だったはず。
白いノートが当たり前のように売ってある世界なら、製紙技術がかなり発達しているわけで、ならその他の技術は……。考えるときりがありません。
そしてファンタジー物では貴族の令嬢が学園生活を送っていますが、果たしてどんな服を着て学園に行くのが正解でしょうか。
学園でもお嬢さまは扇子を持っておほほ……とかやってますが、その扇子は座学や実技の時にはどこにあるのでしょうか。
一人、あるいは取り巻きと行動しているお嬢さまもいますが、取り巻きだって令嬢のはず。
常に侍女が待機していないと令嬢スタイルは保てないと思うのですが、学園生活を送っているお嬢さまの身の回りはどうなっているのか摩訶不思議です。
異世界ファンタジー漫画の学園物で、家では重たそうなドレスなのに、制服は膝丈スカートだったりして『せかいか~ん』などと思っていたのですが、徹底的に『学園』を作り込む気がないのなら、機能的な制服着てるほうが話は進みやすいかな、と思いました。
◆ 氷菓? アイスクリーム?
いざ書こうとすると、分からないことがあれこれ出てきたのですが、その中でも物の名前には困りました。
例えば服。首元のスカーフ的なあれって何だろうと調べたら、『クラバット』と出てきました。ええっと、クロアチアの傭兵スタイルからきたもので――、って……。クロアチアが存在しない世界でクラバットはおかしくない?
そもそもクラバットやジレという単語は何の説明もなしに出していいのだろうか? 読み手が出来るだけ詰まらないようにわかりやすい単語を選ぶべきでは?
こんな風にあれは地名、これは人名だからダメ、とやっていたらどんどん使える言葉がなくなっていきました。
しかし、他のなろう小説を読むとクラバットやジレも普通に出てきます。
それどころかエルフ、オーク、ゴブリン――いちいち説明のない作品もいっぱいあります。
他にない世界観を作りたい! という強い意図があるならともかく、そこまでのこだわりがないなら既存の単語をバンバン使うのもありだったのかなあと考えてます。
◆ 宗教はあった方がいいかも
話を作る時に架空の宗教は作るまい、と思いました。
既存宗教のパチモンしか思い付かないし、架空とはいえ、モデルになった宗教の信者の方が見たら嫌な気持ちにさせるかもしれないと考えたからです。
しかし、書いているとセリフの中に『神』『悪魔』『地獄』などが思わず出てきてしまいます。
生活の中でも、結婚は、葬儀はどうするのか。人が死んだら、魂や転生をその世界の人がどう捉えているのか。祭りや記念日だってあります。普段は意識してなくても信仰心0で生きてる人間っていないんですよね。
書いていると結構困ることがあったので、やっぱり最初にある程度決めといた方が良かったかもしれません。
◆ アクセス解析がしんどすぎる
昨年の11月をピークにアクセス数が伸びなくなりました。最終更新話は100近くアクセスがあったのですが、この頃から下がり続けています。今、70人くらいです。
一喜一憂していたら精神的に持たないだろうと考えて、この辺りからアクセス解析を見るのを止めました。ブクマも見ていません。感想だけは見逃さないように気をつけていました。
なろう的にはちゃんとアクセスをチェックしないのも良くないんだろうな、と思いながらも、『物語を書き続ける、そして完結させる』を目指すために、無視することにしました。
多分、解析を睨みながら文章やストーリーをきっちり直していたら、完結には漕ぎ着けられなかったと思います。
良い悪いではなくて、あくまでこんなヤツもいるよってことです。ご参考までに。
◆ メモ帳が消える消える消える
スマホのメモ帳機能で書いているんですけど、これが情け容赦なく消えるんですよ。
しかもいつ消えたのか分からないことがほとんどです。
2000文字くらい書いて、一旦閉じて、再開! と思ったら300くらい消えていた、なんてことはザラです。ヒドいときは、1話分、消えることもあります。
多分、なんですけど、親指がすべって【選択】になった状態で【切り取り】誤タップ、そのまま保存ってなるんでしょうね。
最大の痛手は、小説内に出す予定がなかった国の歴史、人口、貴族家数を書いた部分を完全削除しちゃったことですね。
今は小説ノートというアプリを使っていますが、やっぱり消えます。
◆ 次は……
気がつけば、300話以上になっていました。私が異世界大河ファンタジー超大作と脳内で呼んでいたあの作品よりも、この作品よりも話数が多くなっていく……。どうしてこうなった。未だに分かりません。
私が新しい作品を探す時、重要視しているのが、まずは完結していることです。次は話数。250くらい続いてて完結してないものはほとんど読みません。(ただし、第一部完結などの表記がある場合は読んでみることもあります)
だから自分の作品に11月くらいから読者がつきづらくなった理由も、まあ、分かります。私もこの話数で完結の目処のたたない作品に手を出すのはしんどいですから。
逆に最後まで読んでくださった方、本当に有り難うございます。感謝に堪えません。
次の作品はまだないのですが、10万文字完結を目指して頑張ります。
どこかでお会いすることがあったら評価なりなんなり、ポチッと押して貰えるとうれしいです。
では、また。