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零幕 プロローグ

 誰かが言った。

 日本のアイドル達は戦国時代にあると。


 今や数百、数千と超えるアイドルグループが数多く存在し、日常では決して目にしないアイドル達が北海道から南の沖縄まで日本の至る所で活動している。


 その中で人々が知る有名なアイドルとはほんのごく一部でしかない。

 上記に該当するアイドルグループと言えば……テレビの音楽番組や有名なアーティスト達が出演するライブフェスに参加する者達や数万人の人々を一つの大規模コンサート会場に集められる大人気アイドルグループを指すであろう。

 そして、その中でも国民的に知られているメンバーは更に一握りと言える。


 グループ内でも熾烈なメンバー間での人気争いやポジション争奪戦が繰り広げられる。

 売れる、名を知れ渡らせるというのは想像よりも遥かに難しい。

 そこには運の要素やバックアップする人達の後押し、ファンが求める人柄であったりと様々な要素が組み合わさることで注目や知名度は高まっていく


 それも全てアイドル個人による力に加えて、その後ろで彼女達を後押しする大人達の力あってこそのもの。芸能界と深く精通する大きな有名所の芸能会社であれば輝くための土台を用意し、見せ場を用意してくれる……しかし、世間一般的な知名度を誇るアイドルグループではない者達はどうであるか。


 その実態はまた大きく違っていた。


 ライブ会場も有名なアイドルとは違い、活動場のメインとなるのはかなり規模が縮小されたライブハウスや公園内に併設された小さな音楽ステージ場……等と応援してくれるファンも数百と少ない。

 限られた人数下でのライブを月の間にかなりの頻度で行い、より多くの人々に自分達を知ってもらおうと地道な活動に励む。。


 また、メディアでの露出も少ない上にライブパフォーマンスを中心に活動するのが生業であることから『ライブアイドル』や『プレアイドル』『インディーズアイドル』といった様々呼称が存在する。


 中でも俗一般的な言われ方があるとすれば、それは『地下アイドル』であろう。

 大きなスポットライトの光を浴び、ステージ目下に詰めかけた大多数の観衆の前に立つアイドルこそが『地上』であるとするなら、そうではない者達のステージは『地下』と置き換えられる。


 そこには明確な境界線はないものの、二分割する大きな壁が両者の立ち位置を分ける。


 容易にも突破出来ない分厚いコンクリートの壁が地面を厚く覆う。

 中々陽の当たらない、陽炎に似た灯火の中で輝き……多くのアイドル達がそこで引退までを迎える。


 その一方で、特別に目立った光を持つ者達がやがて、力を付けて地上の舞台に立つ例もある。

 硬いアスファルトを突き破って芽吹く小さな蕾の様に外の輝きを求めて挑戦するアイドルグループも存在し、一部では成功を果たして地上の光を浴びたアイドル達も中には存在する。


 熾烈で過酷な世界。

 スポーツの世界とはまた違い、実力、運、ニーズ、注目、好み……といったあらゆる要素が組み合わさって押し上がることの出来る未知の領域。


 そんな世界に一人、異端とも言うべきアイドルが頼れる仲間と共に大きな挑戦へと乗り出す。

 ここから先には想像も付かない光景が待っている。

 光差すステージ上の向こうで観てくれる観客は今からステージに立つ人物なんて知りもしない。

 なにせ、ここに立つこと自体が初めで『初めまして』となるのだから。


 だけど、そんなの関係ない。

 このステージを通じて、たった五分もない時間で彼らの心にこの一瞬たる時間を焼き付ける。

 一人じゃなく、二人……五人の力で。


 その願いと思いを込めて、一人の少年と少女達が戦場(ステージ)へと立つ。

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