妹、小学生になる--(前日談-1- )
「私は兄貴のことが...兄貴がことが大っ嫌いです」
あの、割とハッキリ聞こえてますけど、その謎の独白。
「兄貴臭いし、痛いし、端的に言うとキモさの塊です」
お兄ちゃんまだ高校生だぞ、加齢臭とかしないよ、多少汗臭いかもしれないけど...てかさ、臭いとか本人の前に言うの流石にひどない?
「でも、いいところもいっぱいあるよ」
それが聞きたいんじゃ!お兄ちゃんのいいところどんどん言って!!!言い切れないかもしれないけどぉ、どんどん言って、我が妹よぉぉ!
「...ごめんなさい、やっぱりないかも」
いや、流石に一つぐらいはあるでしょう!かっこいいとかイケメンとか...自分で言ってて恥ずかしくないのって言いたいでしょう、分かるよ!こっちは超恥ずかしいよぉ!...もうこの話やめよ。
「でもなんだかんだ優しいからお兄ちゃん大好き(小声)」
「妹よ、さっきなんか言った?」
妹は即座にフグのように頬を膨らませる、そして自分の部屋に戻った。
さっきなにを言おうとしてたんだろう?お兄ちゃん大好きとか?ないない、流石にないわ。
我が妹がそんなブラコンのわけないやん。実の妹だぞ、こういうラブコメ展開あるわけないやん!
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「お兄ちゃん~お団子たべる?」
今俺の目の前にいるのは俺の妹だ。
俺たちは毎日のようにあの公園に訪れる、あの子を探すために。
「ありがとう、料理できるようになったんだね、えらいえらい」
中学生がおままごとしてる姿を誰にも見せたくないけど、これも可愛い妹の頼みだ。お兄ちゃんとしてその思いを答えないといけない、だって俺長男だからぁ!
なんかすいません...
「お兄ちゃん、食べてないじゃん...食べて!」
おい妹よ、これ土だぞ、食えるわけないやろ!って言いたいところだが、お兄ちゃんとして食べないといけないのだ、長男だからぁ!!
「ごめん、お兄ちゃんちゃんと食べるね...」
口を開くんだ!それを口に運ぶんだ!大丈夫大丈夫、これ食っても死なないから、多分!とりま世界一可愛い妹のために食べるんだぁ!
「お兄ちゃん、それ食べられるわけないでしょう、アホなの?バカなの?理性を失ったシスコンになったの?」
妹は我に返ったように俺を止めた。
「急に冷静にならないで!?賢者タイムかよ!」
てかシスコンちゃうし!お兄ちゃんは妹に甘い生き物なんだよ、これはある種の法則だ、決して俺がシスコンってわけじゃ...俺シスコンかもしれない。
あっ、しまった。
さっき小学生の妹の前で下ネタ言ってなかった?
「けんじゃたいむぅ?」
よかった、賢者タイム分からないみたいで助かったよ。
「気にしないで気にしないで。もう晩いし、帰ろうか」
「うん、帰ろう。そういえばお兄ちゃん。今時の小学生はね、公園で遊ばないの」
えっ、そうなの?なんかジェネレーションギャップを感じたんだけど、まあいいや。
「お兄ちゃん、あの子いないね」
「うん、そうだな」
あの子はもう来ないよって妹に伝いたかった、けど俺にはそれを言えなかった。
ゆき、君は今どこにいるの?どうしていなくなったの?
俺のせいなのか?そうかもしれないな。
ごめんゆき、あの雑誌は俺のものじゃないんだ!あれは公園で拾ったものなんだ...
俺は寝取られ好きなんかじゃない!
冷静に考えて中学生がそういう系のエロ雑誌持ってるわけないだろう!
前日談で無理やりゆきの存在感を高めるんだぁぁあ